認定NPO法人REALs(リアルズ:旧日本紛争予防センター)は争いを予防し、人と人が共存できる社会をつくる国際NGO。ご寄付は寄付金控除の対象になります。
2010年に中東諸国で発生した民主化運動「アラブの春」の影響を受け、シリアでは2011年3月中旬に内戦が勃発しました。長引く紛争により、これまでに約660万人が難民として国外に逃れ、シリア国内でも約670万人々が国内避難民として避難生活を送っています。人口の半数以上にあたる1,340万人もの人が人道支援を必要としている状況*であり、「21世紀最大の人道危機」と呼ばれています。
シリアは世界で最も食料危機に瀕する上位10か国に位置し、1,200万を超える人々が食料不足に直面している*と言われています。
内戦勃発から11年を超える月日が流れた今も、日々生きるために必要な衣食住を十分得られず、また紛争経験や紛争下での不安な生活による心の傷や悩みを抱えている人々がいまだ多く取り残されています。国内避難民は故郷に帰る目途も立たず、自身で生計を立てようにも避難先では仕事も見つからず人道支援団体からの支援に頼らざるを得ない状況が続いています。
*UNHCR (2021/3)
*UN (2022/2)
心の問題を抱えながら避難生活を送る人に心のケアを
紛争経験や身近な人との離別によるトラウマ、また日々の生活や将来の不安により、避難生活を送るシリア人の多くは心に過重な負担やストレスを抱えています。REALsは現地の手による持続可能な心理社会的サポートの提供を目指し現地の支援団体と連携し、そのスタッフを対象に心理社会的サポートおよびジェンダーに根差した暴力のオンライン研修を行い、さらに現地での支援活動の指導・助言を行っています。支援団体のスタッフは研修と指導・助言を受けながら、国内避難民キャンプを訪問して心のケアを必要としている人々を見つけ出し、希望者に対面や電話による無償のカウンセリングを提供します。
ジェンダーに根差した暴力の知識を広め、予防する
紛争下において経済的かつ精神的に厳しい生活を送るシリアの人々の中でも、特に弱い立場に置かれやすい女性や子どもに対する暴力が深刻化しており、家庭内暴力や家計を守る手段としての児童婚といったジェンダーに根差した暴力(Gender Based Violence、以下GBV)が多く確認されています。
REALsはシリア国内で、GBVに関する基本的な知識や予防方法、GBVにさらされている人が受けられる支援情報などを広める活動を行っています。特に避難生活を送る人々が自身や周囲で起きているGBVに気付き、適切な予防や対応ができるようになることを狙いとしています。
国内避難民の命と生活を支える(緊急支援)
特に2021年以降、シリア全体が深刻な食料不足に陥るなかで、避難生活を送る人の多くが生きていく上で必要な食料や生活物資を手に入れることが難しい危機に直面しています。REALsは緊急支援として、特に困窮した世帯を優先し、食料や衛生用品などの生活物資の配布支援を行っています。この支援は人々の命と生活をつなぐと同時に、支援を受けた世帯が今ある貯蓄を切り崩すことを防ぎ、また収入のある家庭はその収入を貯蓄に回すことを可能にするため、困窮した国内避難民の世帯が避難先での生活を安定させていく第一歩となります。
【シリアでの政権崩壊をうけて】平和の創出に向けてREALsが取り組むこと
11月25日は女性に対する暴力撤廃の国際デー:ジェンダーに根差した暴力とは?
【紛争下の心のケア】日本発の国際NGO、シリアの紛争により避難生活をする人たち4,000人に新たに支援を届ける。スキル習得のためのワークショップも開始