ソマリア

認定NPO法人REALs(リアルズ:旧日本紛争予防センター)は争いを予防し、人と人が共存できる社会をつくる国際NGO。ご寄付は寄付金控除の対象になります。

ソマリア

ソマリアの概要・課題

ソマリアは「アフリカの角」と呼ばれるアフリカ東部地域にある人口1400万人の国です。
ソマリランド、プントラント、首都モガディシュがある南部の3地域からなる連邦共和制で、国民のほとんどがイスラム教を信仰しています。1991年に発生した内戦の長期化、伝統的な氏族(クラン)間の争い、中央政府の統治力の欠如などにより、不安定な治安状況が続いています。特に深刻なのが、内戦が長引くなかで頻発するテロの問題です。近年は史上最悪のペースでテロの被害が拡大しており、2017年には369件のテロにより1,470人が命を落としました。同年に首都モガディシュで発生した車両爆弾によるテロでは一度に588人が亡くなり、世界史上もっとも大きな被害が発生する大惨事になりました。また2022年にも同地域で10月29日、2回の大きな爆発が起き、少なくとも100人が死亡し、300人が負傷しています。2022年に発生したテロは299件、755人が死亡しています。ソマリアで発生するテロの大部分は、イスラム系武装勢力アル・シャバーブによるもので、アル・シャバーブは隣国ケニアでのテロにも関与しています。職のない若者や生活苦の子どもがテロ組織、ギャング、海賊に勧誘される問題も深刻化しています。

外務省ホームページから引用

REALsの取り組み

  • テロ・暴力的過激化予防(争い予防)

    テロ被害が深刻なソマリア南部で、若者がテロ組織に参加したり過激化せずに社会を変える担い手となるよう、人材育成と環境整備に取り組んでいます。UNIDO(国連工業開発機関)との連携事業では、UNIDOが若者への職業訓練と起業家支援を行い、REALsが暴力的過激化を防ぐための研修プログラムを策定し若者を指導員として育成したことで、若者たち自らがコミュニティの平和のために指導と行動を続ける基盤ができました。

  • 治安の改善(争い予防)

    ソマリアでは、警察、裁判所、刑務所の能力不足により、争いや暴力、被害情報など基本的なデータもない状態でした。REALsはUNDP(国連開発計画)の要請を受け、治安悪化の原因と解決策を独自に分析可能なツールを開発し、国連職員、政府・行政機関、NGOへの技術移転を通じてソマリア全土での運用を実現しました。

  • 避難民女性を、性被害を防ぐ担い手に(ジェンダー)

    ソマリア北部の国内避難民キャンプでは、避難中に性被害に遭ったり、キャンプ生活で男性から暴力を受ける女性の被害が深刻でした。REALsは避難民キャンプ20箇所で避難民女性を選定し、被害者が相談できる窓口と問題解決の担い手となるよう育成しました。結果、レイプ被害の予防や家庭内暴力の調停が行われたり、女性たちが考えた「女性の尊厳を守ろう」というメッセージを携帯電話を通じて地域全土に配信したことで、立ち上がる女性たちや協力する男性長老たちが増えるなどの波及効果も生まれました。

  • 避難民と住民の共存(共存)

    争いや自然災害により多くの人々が避難生活を余儀なくされてきたソマリアでは、国内避難民、帰還した元難民、元々の住民の間で土地や資源をめぐる対立が起きやすくなっています。REALsは、集団間の対立を早期に解決し、集団間の信頼醸成の取り組みを立案・実施できる人材を育成しています。異なる集団間の共通する利害を起点にした共存促進の取り組みも行っています。

現地にもたらした変化

ソマリアの警察内に広がったジェンダー改革

ブルハン(男性)は、ソマリア内務省で国内避難民の問題を担当している政府職員です。避難民キャンプでの女性に対する性とジェンダーに基づく暴力(SGBV)の被害報告が頻繁に届き、疲労困憊する毎日を送っていました。ある日、ブルハンはREALsが避難民女性に行ったジェンダー研修に参加しました。国連や国際NGOが行う研修には、内務省職員がお目付け役として参加するのが常だったのです。  ブルハンは衝撃を受けました。研修では、彼の知りたかったことが解説されていたからです。紛争やジェンダー問題の原因を分析する方法、予防解決のヒントと手段、成果をはかる方法など、実践的な研修を彼は食い入るように聞いていました。コーヒー休憩の際に、彼はたまらずREALsに直談判しました。「内務省の職員にもぜひ教えてほしい。」   その4ヵ月後、REALsは内務省職員を対象にジェンダー研修を実施しました。問題への意識と理解度がとくに高いブルハン含めた一部の職員には、追加で指導員研修も行い、内務省内で人材を育成できるようにしました。 「これで地方勤務の職員にも研修できる」とブルハンは喜びました。  数ヵ月後にREALsが内務省を訪問すると、ブルハンが使っているノートを見せてくれました。研修参加者に配布したノートで、表紙に「女性や少女を守ろう」とソマリ語で書かれています。「同僚みんなが羨ましがっていろいろ聞いてくるんだ。だからジェンダーのことを教えてあげてるんだよ。」REALsが企画・実施した研修は、人づくり、政策づくり、そしてさらなる意識改革にも着実に波及しています。

活動レポート

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