ジェンダーに配慮したボサソ市場の修復と起業家の育成を通じた紛争予防及び社会安定化

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活動レポート

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ジェンダーに配慮したボサソ市場の修復と起業家の育成を通じた紛争予防及び社会安定化

ソマリアでは、世界でも稀に見るほど人道危機が長期化して複雑化しています。現在、1,000万人といわれるソマリア全人口のうち、300万人が人道援助を必要としており、110万人が国内避難民となっています。ソマリア北部プントランド州では、エルニーニョ現象の影響で、今後数か月のうちに洪水が発生する恐れもあります。食料安全保障・栄養分析ユニットによれば、201512月中に、ソマリア全土で85万人もの人々が緊急援助を必要とする事態に陥るだろうと予測されています。そうした状況下で、抜本的な対策として所得創出と雇用創出のための支援が強く求められています。

REALs
20159月より、「ジェンダーに配慮したボサソ市場の修復と起業家の育成を通じた紛争予防および社会安定化」事業(20159月〜20162月)を開始しました。本事業は、国連プロジェクトサービス機関(UNOPS)からの助成を受け、プントランド州の港町ボサソで6ヶ月間実施する予定です。

本事業には2つの目的があります。1つ目はボサソ市場の改修(ハード面の支援)、そして2つ目は、女性を中心とする市場で働く人々の経済的自立(ソフト面の支援)を促すことです。

REALs
は、現地団体である紛争暴力予防研究所(OCVP)と連携して、2つ目の目的であるボサソ市場で働く人々の能力強化と起業家の支援に力を入れています。OCVP2009年創立の調査研修機関で、プントランド州でも活動しています。

REALs
OCVPは、研修、コンサルティングや照会サービス、起業支援キットの配布、ビジネス・フォーラム等の能力強化に資する活動を実施する予定です。こうした活動が確実に本事業の裨益者のニーズに合致するよう、市場の現状を正確に分析するための集団聞き取り調査や専門家へのインタビューを通して、地域に根差したニーズ分析が行われています。
また、事業実施にあたってはこれまであらゆる段階で現地の行政機関の参加を促してきました。例えば、事業の効果に持続性を持たせるため、ジェンダーや紛争に特別に配慮した方法でのデータの収集や入力の作業に、関連省庁の職員を動員しました。

これまでREALsが培った平和と安全保障、ジェンダー主流化や女性のエンパワーメントの分野における知見が、本事業を通してあらためて活用されています。また、戦略的な現地団体との連携により、ソマリアのような複雑な人道危機に瀕する国においても、REALsは最も支援を必要とする人々に支援を届けることができるのです。

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ミルク業者、ナジャの話

ソマリア北部のプントランド州ボサソ市で実施した「ジェンダーに配慮したボサソ市場の修復と起業家の育成を通じた紛争予防及び社会安定化」事業が完了しました。事業を通して学んだ知識がどのように活用されているのか、ソマリアの女性に話を聞きました。

ナジャは、ラクダ、ヤギ、羊のミルクを売って12年になります。彼女は離婚してから、8人の子どもたちを養うために働いてきました。ソマリアの社会では昔から、農村で動物の乳を搾って町の市場で売ることは、女性の仕事です。ナジャの顧客はボサソの町に住んでいて、中東から輸入されたパウダー状のミルクより、地元で作られた新鮮なミルクを好みます。ソマリアの乳業は、ナジャのような女性が支えているのです。

ナジャは小学校しか出ておらず、事業を立ち上げるための資本もなく、数えきれない困難に立ち向かってきました。例えば、暑い中、ミルクを冷たく新鮮な状態に保つ道具がない、へき地の村から町へミルクを運ぶのに道路が整備されていない、ミルクの衛生状態を保つための知識がない、などです。これまでナジャは、ミルクをふたのないバケツの中に入れ、長い距離を運ばなくてはなりませんでした。ふたが開いたままではミルクの中にほこりや虫が入り、汚染や食中毒を招きかねません。

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魚売り、ルキアの話

ソマリア北部のプントランド州ボサソ市で実施した「ジェンダーに配慮したボサソ市場の修復と起業家の育成を通じた紛争予防及び社会安定化」事業が完了しました。事業で配布した道具がどのように活用されているのか、ソマリアの女性に話を聞きました。

ルキアは10年前に、親戚の助けで、魚売りの仕事を始めました。夫を亡くした後、6人の子どもたちを育てなければならなかったからです。ルキアの故郷、ボサソ市はアデン湾の南岸に位置しており、大きな港もあります。この町は商業の要衝として栄えてきました。ルキアのような女性たちも、港で漁師からその日とれた魚を受け取り、積み降ろします。

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マイクロファイナンスを活用して事業を拡大するために

ソマリアでは、マイクロファイナンス(小規模融資)が徐々に広まってきているものの、実際に利用している女性事業者はそれほど多くありません。3日間のマイクロファイナンス研修は、ボサソ市における小規模事業の拡大をめざして、女性事業者らが最新のマイクロファイナンスを利用しやすくなるようにと、企画されました。

この研修は、2016514日から16日までの3日間、ソマリア北部プントランド州ボサソ市の商工会議所内の研修会場で、REALsと現地提携団体である紛争暴力予防研究所(OCVP)およびプントランド商工会議所によって開催されました。30名の参加者のうち、28名が女性の小規模事業者で、 (1)マイクロファイナンスの基礎知識、(2)ビジネス入門(3)職場における紛争管理(4)起業論の4つのテーマが取り上げられました。

女性たちにも積極的に参加してもらうため、講師は参加者を3つの小さなグループに分け、自分のビジネスに関連がある問題について話し合うよう促しました。また、参加者がマイクロファイナンスについてより理解しやすくなるよう、具体的な事例を交えて説明しました。

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日目と3日目の冒頭では、講師が簡単なふりかえりの時間を設け、各人の理解度をはかりました。また、質疑応答を通して、参加者が十分に理解できなかった点を確認しました。

参加者26名からアンケートを回収した結果、研修によって小規模事業を経営するための知識やスキルを身につけることができたことが確認されました。さらに、回答者の96%が、研修中に主体的な参加や活発な議論が奨励されていた、研修の内容が自身のビジネスに役立つだろうと述べています。

また参加者はより効率的に事業を経営するため、自身の失敗談やノウハウを他の参加者と共有していました。グループディスカッションや休憩の時間も、参加者同士で小規模事業経営における最善の方法について議論に花をさかせていました。

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港町ボサソの商業ネットワークが拡大

2016年49日、ソマリア北部プントランド州におけるビジネス法規制に関する第1回コミュニティ会議が開催されました。この会議はボサソ市にて、REALsと現地提携団体の紛争暴力予防研究所(OCVP)ならびにプントランド商工会議所によって実施されました。この会議の目的は、プントランド州の行政関係者と民間セクターとの交流を強化して、民間事業者がプントランド州におけるビジネス法規制への理解を深めることです。

「ボサソの地方自治体と民間事業者は相互扶助の関係にあるのです。」プントランド州の商工省副大臣のアブディリザク・ヌール・オマール氏とボサソ市の民間事業者たちは、絶妙のタイミングで開催されたこの会議について興奮気味に語りました。

この会議の様子は現地メディアによって報道され、動画はYoutubeで、記事はオンライン掲載されました。なかでも「ソマリチャンネルTV」は55分間の特別番組を制作し、ソマリアだけでなく、北米、欧州、オーストラリアで合計12回放送しました。米国アトランタ州在住のマフディ・シャキーブ氏は、この特別番組を見た後に提携団体OCVPに対して以下のようなメッセージを送りました。「こんな素晴らしいソマリアの会議は、これまで見たことがありません。情報に富んでいて、平和的で、とてもうまく構成されていたと思います。地域のほとんどすべてのセクターが積極的に参加していた点においても感心しました。」

さて、ボサソの女性民間事業者の目にこの会議はどう映ったのでしょうか。提携団体OCVPによって無作為に選ばれた8名の女性参加者が、会議の後にインタビューを受けました。全員が、会議は有意義であったと評価しており、「自分がいくら税金を払わなければならないか、また納税することでどんな行政サービスを受けられるのかを学んだ。」「事業許可証について学んだ」「事業者登録のプロセスについて学んだ」という声があがりました。彼女たちは、事業者としての義務や権利、また自分たちのビジネスに対して地方政府と商工会議所からどのような支援を受けられるのかについて理解し始めたようです。商工会議所は、事業者登録数、特に女性事業者の登録数が今後増加するだろうと予想しています。

会議では、プントランド州の商工省の官僚や、ボサソ市の職員、商工会議所、大学や研究機関の専門家、またボサソ市の民間企業などから、1012名のパネリストを招聘してパネルディスカッションを行いました。この会議では事業者登録のプロセスや、税制、社会資本やビジネス・ネットワーキングなど、多岐に渡るテーマが議論されました。ボサソ市の民間事業者たちは地方当局に対して、プントランド州のビジネスにおける障害をどのように取り除き、民間事業者に対してどのような支援が提供されうるのか、問いただしました。

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起業支援キットが66名の小規模事業者の手に

REALsと提携団体である紛争暴力予防研究所(OCVP)ならびにプントランド商工会議所は、ボサソ市の小規模事業者100名に、1人当たり500米ドル程度の起業支援キットを配布しています。すでに100名のうち3分の2への配布が完了していますが、そのうち約8割が女性です。

すでに起業支援キットを受け取り済みの66名は、商工会議所に正式に登録されている小規模事業者です。それぞれの事業のニーズにできる限り合ったアイテムを選定するため、OCVPは対象事業者に対して個別に聞き取りをして、ニーズに合わせた品目リストを作成しました。

また、この起業支援キットの配布に際して、オリエンテーションも行われました。オリエンテーションは、起業支援キット配布の目的や、期待される効果について説明するものです。まず317日に、第1グループの33名を対象にオリエンテーションが行われました。その後、321日~24日に商工会議所にて、この第1グループに対して起業支援キットが配布されました。それぞれの起業支援キットはひとりひとりに配布されましたが、冷蔵庫、計量器、椅子、大型の机、木のパネルなどが含まれています。

第2グループの33名へのオリエンテーションは、417日に行われました。これに伴い、第2回目の起業支援キット配布は419日に開始されました。第3グループへの起業支援キット配布もじきに行われる予定です。この起業支援キットは、ボサソ市の小規模事業者のビジネスを成長させ、また持続性を高めることが期待されています。

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ボサソ市で第二回ビジネス研修が開始

2月1日、第二回目のビジネス研修がソマリア北部プントランド州ボサソ市の商工会議所で始まりました。
今回の研修では、マイクロファイナンス(小規模融資)、データ管理やマーケティングについて学びます。REALsと現地提携団体である紛争暴力予防研究所(OCVP)の主催で、30人の起業家が4日間研修に参加します。参加者の80%は、20代から30代の女性です。
研修初日、参加者たちは開始時刻ちょうどに到着し、積極的かつ活発な議論を交わしました。また当日は、ボサソ市長から励ましの言葉が伝えられました。

REALsのジェンダー・アドバイザーのシュクリア・ディニ博士も、この研修にオブザーバーとして同席しました。研修中、参加者同士がアイコンタクトを取りやすくなり、より活発な議論を行えるようにとの配慮から、ディニ氏は女性の参加者に対してニカブ(イスラム教徒の女性が顔を覆うために使用するベール)を外すよう提案しました。ディニ博士の提案に同意してベールを外したまま研修に参加する女性もおり、グループ作業も円滑に行われました。

研修の前後には研修内容の理解度を確認するテストを行い、研修の成果を測定します。

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