【対談ログ】佐藤純一×瀬谷ルミ子「争い予防に参加することと、REALsの「これから」」

認定NPO法人REALs(リアルズ:旧日本紛争予防センター)は争いを予防し、人と人が共存できる社会をつくる国際NGO。ご寄付は寄付金控除の対象になります。

REALsからのお知らせ

【対談ログ】佐藤純一×瀬谷ルミ子「争い予防に参加することと、REALsの「これから」」

争い予防に参加することと、REALsの「これから」

2022年8月8日に実施した対談イベント「争い予防に参加することと、REALsの「これから」」の対談ログです。

REALs理事長 瀬谷ルミ子と理事 佐藤純一が、争い予防や社会課題に”参加すること”について、対談しました。

 

「社会課題に関わるにはどうしたらいいんだろう?」
「REALsが考える、これからの争い予防への参加って?」

 

そんな問いに向き合う内容です。ぜひご覧ください!

佐藤純一 ✕ 瀬谷ルミ子 対談ログ

❝ 出会い~佐藤氏の理事就任まで ❞


瀬谷
:最初に佐藤さんと出会ったのはもう10年以上前。当時参加した、REALs中土井理事による、組織の課題解決に関する民間企業向けのセミナーで、初めてお会いしましたよね。

佐藤:3~4年くらい前ですかね。

瀬谷:当時REALsは、現地でどれだけ成果を上げても、それを知っていただくためのとりくみをほとんどしていなかったので、なかなか日本で一緒に活動する仲間が増えていかなかった。この課題解決には、取り組む必要があると感じたんです。仲間作りの専門家で、かつREALsと一緒に活動してくれる方はいないかな・・・と思っていたところ、REALsの中土井理事がカヤックの佐藤さんを推してくれました。


佐藤
:正直なことを言うと、争い予防や国際的な紛争に関して、関心が元々すごく高かったっていうわけでもないし、そこに積極的に取り組もうと思っていたわけでもないんですよ。僕の場合は、REALsに参加して学んだことが別の分野で役に立つっていうこと自体が社会貢献につながると考えていて、そういう複層的なつながりに対する期待感が強かったですね。

瀬谷REALsにとっても、佐藤さんとのつながりが何か新しい取り組みに繋がるんじゃないか、という面が大きかったなと。


佐藤
:そういう風な関係性が作れると、いいですよね。

 







❝ 人を巻き込むときは「メリットがある」と思ってもらう事を大事に ❞


佐藤:社会的な活動って、遠い国の活動を国内の人たちにお知らせするっていう一方的な形になりがちじゃないですか。だから、広報以上のコミュニケーションはなかなか作りにくいんだなと感じています。

瀬谷:紛争地でも平和や他の民族との交流なんて考えたくもないと思う人たちに、自然とそこに興味を持ってもらって、関わることで「自分にもメリットがあるんだ」と思ってもらうということを、プロジェクトを立てるときに大事にしています。現地社会のなかでプロジェクトに無関心だったりアンチだったりする人たちをどうやって巻き込むかという観点は、まさに、佐藤さんの地域を巻き込むプロジェクトと通ずることがあるかなと。

 

❝ 持続するコミュニティの形成は、コンテンツ・コミュニティ・コマースのセットから ❞

佐藤:最近のカヤックの事業は「コミュニティ」が大きいキーワードになっています。Eスポーツやファンコミュニティなどの事業の他にも、企業として街づくりもやってるんです。実は僕ら、ゲームや広告のコンテンツばっかり作ってきたんですよ。そしたらコンテンツの周りに、コミュニティができた。コミュニティに対してきちんとコマースを提供して行く。コンテンツ・コミュニティ・コマースをセットで提供すると、しっかりと循環して継続的にコンテンツを守るコミュニティが持続的に形成できる、というわけです。我々が目指すまちづくりは、民間企業や民間団体を中心にした自分ごととしての街づくりで、あくまでもみんなが興味を持ってくれた結果なんですよ。

❝ 社会的な課題を解決するには、ちょっと敷居を下げたほうがいい ❞


佐藤
:(転じて、社会活動の参加を考えると、)実際、社会的な課題解決に対する参加とか支援って、生活に余裕のある人とか、年齢層が高い人とか、高度な教育を受けた人とかが統計的にも多いと言われていますよね。多くの人が参加する、という形にうまくつながっていくといいですよね。


瀬谷
:争い予防っていうのも結構敷居が高いと思ってる方がいる。でもその分、私たちに参加してくれるのは、REALsの支援の必要性をわかった上で、そこに引っかかって下さった、濃い方々。敷居が高いということも、悪いわけではない。


佐藤
REALsも、ちょっと敷居を下げていく感じや、みんなに知ってほしいという感じが出てきましたよね。例えば「争い予防」みたいな言葉での表現の仕方とか、REALsのホームページやコミュニケーションがすごくカジュアルになってきていると思います。寄付をするという以外でも、より多くの接点がつくられるといいなと考えています。

 






❝ 紛争地でも日本でも、いろいろなコミュニティを巻きこんでいく必要性がある ❞


瀬谷
:武装解除の分野で、個人の専門家として一人でできることって当然限られている。より多くの人たちを巻き込むにはどうしたらいいんだろうと悩むようになりましたね。日本国内でも紛争地でも、平和を成し遂げたいから活動するのは、すごくコアな人たち。REALsはそういう人たちをコミュニティの担い手として育成する事業をやっています。けれど、コミュニティのために尽力したいと思う若者ってそんなに多いわけじゃない。多くの人たちはもっと日和見的だったり、他に関心があったり、日々の生活で精一杯だったり…。コミュニティ自体も、単に民族だけでカテゴライズしがちですが、年齢層やジェンダーによって、現地にもいろんなコミュニティがあります。それをしっかりと踏まえて、もっと色んなコミュニティを巻き込んでいく必要性を感じています。

佐藤:広げていってるわけですね。

瀬谷:うんうん。日本でもそうなんですよね。「遠い世界の出来事だね」「日本は平和で良かった」ではなく。社会貢献意識が聖人レベルみたいな人たちしか参加できませんではなく、別にそんな生真面目でなくても社会貢献の参加を広げていきたい。

❝ 鎌倉のコミュニティ「カマコン」的要素をREALsでも活用できるか? ❞

佐藤:鎌倉にはカヤックも関わっている、「カマコン」っていう、地域コミュニティがあるんです。鎌倉の内外、様々な立場の人たちが毎月100人から150人ぐらい集まってやっているブレストの会なんです。3人のプレゼンターがプランを発表し、参加者は自分が一番関心があるプランについて10分間のブレストに参加する。そのブレストで出たアイデアをプレゼンターにギフトするっていう会なんですよ。アイデアももちろん重要なのですが、副次的に何が生まれるかっていうと、会の後にFacebook上でそれぞれの取組を応援するコミュニティができるんです。アイデア出しをやってるんだけど、結果的に仲間ができるっていうしくみです。これは約10年続いてて、今まで累計で500近くのプロジェクトが作られました。公共公益的なものじゃなくても、鎌倉で何かを始める人たちを全力で応援する、その応援の仕方がアイデアを出すっていうことから始まって仲間集めができる。この「カマコン」のフォーマット、今は全国で50カ所ぐらいに広がっています。

瀬谷:自分の浮かんだアイデアをブレストで言い合ってお互いに評価をしないって、良いですね。

佐藤:ちょっとしたきっかけがあれば関わりたいと思うのもなんですよね、人間って。ただ関わるきっかけや、「関わりしろ」がないとそこでコミュニケーションが途絶えてしまう。だから、社会的活動の話に戻ると、広報に終始しちゃうんです。そうじゃなくて、例えば無責任にアイデア出すでもいいと思います。そうすると、関わりのなかにもう一歩入れる。多分REALsでもしっかり「関わりしろ」をつくっていけば、そういう関係性をつくっていくことができるんじゃないかと考えています。








❝ 参加者一人ひとりが自分のなかで意味や価値を見出せるコミュニティ ❞


瀬谷
REALsでこういうしくみがあると、参加してくれる方々にとっても、REALsにとっても、お互い良いですよね。将来的に現地の人たちと日本でREALsに参加してくれる人たちとの間で、コミュニケーションを取り合うことができたら、すごく良いなと思いました。


佐藤
:「社会のためにやらないといけない」だと続かない。「自分にとっても学びになってる」とか「楽しいな」、「友達できたな」そういう得られるものが何かあれば続くと思います。


瀬谷
:日本でもREALsに参加してくださる方に、自分自身の生活も何か張り合いが出るとか、何か意味を感じてもらうっていう形が一番長く続くんですよね。参加することで自分の中で意味や価値を見出してもらいたいなと。


佐藤
:コミュニティって、もう少し有機的なんです。サポーター同士やREALs職員とサポーターとの間のパーソナルでnnのコミュニケーションもできたら、すごい熱量になっていくんじゃないかな。ブレストを通じて、そこに共感性があるっていうこと自体を経営に生かすこともできるはず。例えばREALsの悩みを相談する会とか…。


瀬谷
:リアルなサポーターの皆さんの中で、一緒にこういうしくみを作りたいと思いました。より多くの人が参加できるコミュニティとして、サポーターの方々との会話を通じて、一緒に企画とかできたらいいですよね。できたらいいね、は駄目なので、やろう、宣言ですね。



REAL PEACE SUMMERキャンペーン

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争いは予防できる。

一度起きると取り返しがつかないから、

予兆を察知して自分たちで防げる社会へ。

それこそが人の手でつくれるリアルな平和だと思うのです。

今、私たちは仲間を求めています。

REALsは、今年で創立23年を迎える国際NGOです。 

「争い予防」専門の団体として、これまで16か国で紛争やテロ、コミュニティ内の対立やジェンダーの違いに基づく暴力などの争いを防ぎ、人と人が共存できる社会の実現を目指して活動してきました。 

失われた命は戻らない。だからこそ、争いが起こる前に防ぐことが重要だとREALsは考えています。 
現地の人や社会が主体的に争い予防や共存を進めていけるように、REALsは人材育成や地域でのしくみづくり、警察や行政なども巻き込んだ社会全体でのネットワーク構築などの手法を発展させてきました。 

その支援をもっと多くの人や社会に広げていくために、REALsはいま、争い予防にともに取り組む仲間を求めて、REAL PEACE SUMMERキャンペーンで新たなマンスリーサポーター100名を募集しています。


この夏、REALsと一緒に争い予防に取り組みませんか?

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