- 資金協力
栗田工業株式会社様のご支援で、南スーダン国内避難民サイトでのトイレ・入浴施設を修繕
REALsは、2019年6月17日より7月19日まで、南スーダンの首都ジュバ市内のマンガテン国内避難民サイトにおいて、栗田工業株式会社様からのご支援を頂き、トイレ・入浴施設の修復事業を実施しました。
事業の背景:国内避難民の避難所とその周辺の劣悪な衛生状況
南スーダンは約20の民族から成る多民族国家で、2011年にスーダンから独立しました。しかし、2013年12月以降、政権内の派閥闘争が激化し内戦に発展し、2016年7月には首都ジュバで激しい武力衝突が起き、それをきっかけに戦闘が全国に飛び火しました。REALsは2009年から同国で活動を行っていますが、今回の事業は、約8,000人(2019年5月時点)の国内避難民が暮らしているマンガテン国内避難民サイトにおいて、避難民が利用する衛生施設の修復を目的とするものでした。避難民サイトには、トイレ・入浴施設が6棟(トイレ60室、入浴施設24室)ありましたが、トイレの排泄物タンクが満杯になり使用できない状態となっており、入浴施設の排水の取り回しも悪く、近隣のテントに浸入するような状況でした。また、施設の老朽化により、壁の破損も著しく、ドアも施錠ができない状態でした。さらには、障がい者用のトイレがないなど、設備自体の不備もありました。
事業の概要:トイレ・入浴施設の修復・改良
この状況を受けてREALsは、トイレ8室と入浴室が4室ある施設1棟を修復・改良しました。排泄物タンクの汲み取り、入浴室からの排水設備の新設、手洗い場2基の新設などを行いました。さらに、雨期にトイレ掃除用の水を貯めておけるように、雨どいと貯水タンクを設置しました。
事業の成果:1.ジェンダーへの配慮
壁の修復と施錠できるドアの設置により、プライバシーが確保され、のぞき見される不安もなくなり、また、トイレの個室を男女別に分けて使用するようにしました。さらに、生理中の女性のニーズにも配慮して個室を大きめに設計するなど、さまざま配慮を加え、利用者から大変喜ばれています。
事業の成果:2.障がい者への配慮
トイレの1室について、車いすの人も利用できるよう、入口の段差のスロープ化、個室サイズの拡張、手すりの設置、障がい者用便器の設置などを行いました。便器については、地域リーダーの要望に基づいて、安価な木製のものではなく、掃除のしやすいコンクリート製の便器を設置しました。
事業の成果:3.コミュニティによる管理体制
改修後の新しい施設の維持管理のために、地域の管理委員会の委員や、女性、障がい者の代表者の中から、水・衛生委員が選出されました。委員への衛生指導の中で、設備の運用・管理方法、監督・モニタリング体制、委員としての役割や責任について話し合いを行い、今後の維持管理計画を策定しました。
利用者の声
・覗かれることなく安心してトイレを使えるようになりました(女性)
「今は安心してトイレを使えるようになりました。以前は壁の穴から覗かれないか心配で、落ち着いて用が足せませんでした。子供達も、あちこちに開いた大きなくぼみにはまることを怖がって使えませんでしたが、今は大丈夫です。ぜひ、国内避難民サイトにあるすべてのトイレを同じように直してほしいです。」
・人の助けを借りず自力で用を足すことができるようになりました(障がい者)
「トイレが広くなったので車いすが入りやすくなりました。以前のトイレはとても狭くて車いすに乗ったまま利用するのが難しかったです。また、しゃがむことが出来ない人が便座に座って用を足せるようなトイレはありませんでした。ですので、今までは障がいを持つ人の多くが家の中で洗面器やレジ袋で用を足し、家族が協力して捨てていたのです。今回の事業に対しては感謝してもしきれません。」
苦しい生活を送る南スーダンの避難民サイトの人たちを支援したこの衛生改善の活動は、栗田工業様のご寄付により実施されました。
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