国際NGO・REALsがUN Womenとともにトルコとシリアで女性団体の能力強化を実施
「女性のリーダーシップを通じた難民とその受け入れ地域の女性・女児の社会的・経済的安定性の強化」
REALsは、2020年度にUN Womenとともに開始した取り組みをさらに拡大する形で、トルコおよびシリアの最前線で活動する現地の女性団体10団体に対し、女性と少女に対する暴力の根絶(Ending Violence against Women and Girls: EVAWG)に向けた能力強化事業を実施します。
トルコは世界最大のシリア難民受け入れ国であり、約360万人のシリア難民を受け入れています。REALsは2015年から、トルコにおいてシリア難民支援を行ってきました。女性や少女に対する暴力は難民の直面する深刻な問題の一つです。特に近年は新型コロナウイルス感染症の影響で、家庭内で過ごす時間が増えたことによるストレス、失業による経済的困窮、その他の社会的なしわ寄せがもともと社会的に弱い立場に置かれがちな女性や子どもに暴力として向かいやすく、結果としてジェンダーに基づく暴力(Gender Based Violence:GBV、主に生活不安、心理的ストレス、家庭内暴力、児童婚など)が世界的に増加する状態になっています。
しかし、女性は紛争や暴力の被害者になりやすい一方、紛争予防や平和に女性だからこそ可能な形で重要な役割を果たしてもいます。女性が参加した和平プロセスは成功率が35%上がることも分かっています。本事業では、難民やコミュニティの女性のために活動するトルコとシリアの団体の能力強化を行い、新型コロナウイルス感染症の影響により深刻化する女性や少女に対する暴力を予防・対処するためのより確実な支援の輪を広げ、ジェンダー平等と能力強化の促進を目指します。
本事業においてREALsが担う役割は以下の3点です。
- 1.シリアとトルコの女性団体のニーズ調査・分析
- 2.各団体の活動成果の改善につながる研修プログラムの策定
- 3.現地女性団体への能力強化研修実施
研修では「女性と少女に対する暴力の根絶」に関するテーマを扱うとともに、新型コロナウイルスや災害下でのジェンダー視点を取り入れた被災者支援なども含める予定です。
私たちREALsは、2022年3月まで、シリアとトルコの現地女性支援団体への能力強化を行い、以下の成果を目指します。
- 1.トルコやシリアで難民・避難民として生活をおくる女性や少女が、現地団体を通じてより迅速かつ効果的な心理社会的サポートや緊急医療にアクセスできるようにすること
- 2.現地の女性組織のリーダーシップを通じて、現地コミュニティ内で市民の力を通じた取り組みや平和的共存が促進されること
UN Women Turkey
UN Womenはトルコ国内で、シリア難民とその受け入れ地域のトルコ人女性・少女の社会的安定と経済支援に取り組んでいます。具体的には、ジェンダーに配慮した保護と生活支援の提供、コミュニティ・地域レベルにおけるシリア危機や新型コロナウイルス感染症蔓延からの復興および回復に向けたとりくみの主導、女性や女性団体の能力強化を通じ、女性のリーダーシップと自立を向上させるものです。
認定NPO法人REALs (Reach Alternatives)
REALsは「紛争・テロ・社会的な暴力」を防ぎ、乗り越え、共存できる社会の実現に向けて争い予防に取り組む特定非営利活動法人です。現在は、ケニア、ソマリア、南スーダン、トルコ、シリアで争いの当事者とともに問題の予防・改善・解決に向けて活動を行っています。また、8月中旬に激変した情勢を受け、アフガニスタン緊急支援活動を行っています。