Reach Alternatives (REALs)

認定NPO法人REALs(リアルズ:旧日本紛争予防センター)は争いを予防し、人と人が共存できる社会をつくる国際NGO。ご寄付は寄付金控除の対象になります。

REALsからのお知らせ

【トルコ】企業研修|民族や出身の異なる人との“非暴力”コミュニケーション

相手の話を受け入れ共感しながら、

 認定NPO法人REALs(リアルズ、Reach Alternatives)(東京都新宿区・理事長:瀬谷ルミ子、以下REALs)は2024年2月、トルコで企業に向けた非暴力コミュニケーション研修を実施しました。

 全世界で1億840万人以上の人が紛争などで住んでいた場所を追われるなか、トルコは世界最多となる360万人の難民を受け入れています。※ その出自は内戦が続く隣国シリアをはじめ、アフガニスタン、イラク、ウクライナなど多岐に渡ります。そうした難民の人たちと日々接するのは、たとえば地域の食料生産を担う農家など一般のトルコの人たちです。

 民族や出身の異なる人たちが街中や仕事場で日々ともに過ごす環境では、ある人にとっては自然な言動が文化の違いから誤解を生むこともあります。平和的な関係を築くために、攻撃的に受け取られず相手を傷付けないコミュニケーションが重要性を増します。文化を越えた共存のためのコミュニケーションがいま求められています。REALsは15人規模のトルコの5つの農業組合に対し、非暴力コミュニケーション研修を実施します。

※UNHCR(国連難民高等弁務官事務所)、2023年9月

経済不安のなか、さまざまな民族や出身の人が暮らす社会で
~高まる“非暴力”コミュニケーションの重要性

 紛争などにより住んでいた場所を追われた人の数は、2022年全世界で1億人を突破し、2022年末までには1840万人にのぼっています(UNHCR)。トルコは世界最多となる360万人の難民を受け入れています。

 その90%以上にあたる330万人は2011年から内戦が続く隣国シリアの出身者ですが、アフガニスタンやイラク、また2022年以降はウクライナからも相当数の難民がトルコに避難しています。一口に“難民”と言っても、出身や避難期間、抱える背景は人により大きく異なります。

 一人ひとりの難民と街中や仕事場で出会い、日常をともに過ごしていくのは一般のトルコの人たちです。難民の多くは避難の過程で仕事や財産を失い困窮しますが、受け入れる側の人たちの状況も安定しているとは言えません。


 トルコ経済ではトルコリラが暴落しており、20182023年の5年間で対ドル77%の価値が無くなりました。インフレーションにより20236月時点では前年同月に比べ消費者物価指数が約40%増加しています。

 20232月にはトルコ・シリア大地震が発生し、トルコだけでも910万人が被災し5万人が犠牲になっています。被災地の農業、建設業への打撃が大きく、トルコの社会経済に深刻な影響を及ぼしています。

 

 そうした背景がありながら民族や出身の異なる人たちがともに過ごす環境のなかで、相手を傷付けず、攻撃的に受け取られないコミュニケーションをお互いに取っていくことが、通常にも増して重要になります。トルコの人たちと難民の人たちのいる一つひとつの職場やコミュニティでそうしたコミュニケーションが実現されていくことが、多様な人が生きる社会全体の安定にもつながります。

5つの農業組合への“非暴力”コミュニケーション研修

 上記の状況を受けて、REALsはトルコの5つの農業組合のメンバーを対象に、“非暴力”コミュニケーション研修を実施します。

 “非暴力”コミュニケーションは、個人間や社会的な問題を解決する際の一つの重要な手法です。相手への理解を深め、共感を生み出し、平和的な解決策を見つけるための基盤となります。相手を責めたり貶めたりするやり方ではなく、相手の状況に思いを寄せて理解を育みながらコミュニケーションを取っていくことを重視します。そうした態度を通じてお互いに不安のない人間関係を築いていくことで、課題に直面したときにも攻撃や暴力を使わずに、双方に良いかたちで解決を目指すことが可能になります。

 REALsの実施する研修ではさまざまなグループワークやロールプレイを用いて、感情的に反応することを自制し、相手の意見を尊重しながらどのように建設的かつ平和的な対話を実践できるかを学んでいきます。そしてその学びがそれぞれの職場でどう生かせるのか、研修を通じてともに考える機会としています。

 “非暴力”コミュニケーションは日本やトルコ、いたる社会で日々意識せず実践されているものでもありますが、現在のトルコのように民族や出身の異なる人たちがともにすごす環境下では、あらためてそうしたコミュニケーションの重要性と具体的な方法を学ぶことが、文化を越えて“非暴力”コミュニケーションを実践するために重要になります。

 研修対象とした5つの組合は各15人規模で、数年以内に設立された比較的新しい組合です。日々民族や出身の異なる人たちと接しながら生活しているにもかかわらず、平和的なコミュニケーション手法について学ぶ機会がなく、その必要性が高いと認められる組合を対象としています。

 世界最多の難民を受け入れる社会で、難民となった人も、それを受け入れる人も、安心してともに暮らしていけるように、REALsは上記の活動に取り組んでいきます。

 本事業はFAO(国連食糧農業機関)と連携して実施します。

認定NPO法人REALs (Reach Alternatives)

 REALsは争い予防に取り組む認定NPO法人です。現在は、アフガニスタン、シリア、トルコ、南スーダン、ソマリア、ケニアで活動しています。

 REALsは紛争やテロなどの争いを防ぎ、人と人が共存できる社会の実現を目指しています。

争いの当事者となった人たちが、主体的に問題の予防や解決に取り組んでいけるように、REALsは現地での人材育成や争い予防のしくみづくり、社会のネットワーク構築などを行っています。

(ウェブサイト:https://reals.org

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