トルコでの避難生活が長引くシリア難民一人ひとりに合った支援を

認定NPO法人REALs(リアルズ:旧日本紛争予防センター)は争いを予防し、人と人が共存できる社会をつくる国際NGO。ご寄付は寄付金控除の対象になります。

REALsからのお知らせ

トルコでの避難生活が長引くシリア難民一人ひとりに合った支援を

新型コロナウイルス感染症の拡大と、それに伴うジェンダーに根差した暴力の深刻化に対する緊急支援

 認定NPO法人REALsReach Alternatives)(東京都新宿区、理事長瀬谷ルミ子、以下REALs)は、トルコ共和国南部メルスィン県にて、シリア難民一人ひとりが抱える悩みや問題を把握し、必要な情報や支援を提供する個別支援事業を開始しました。


 避難生活の長期化に伴い、難民が抱える悩みや課題は個人によって多様化しています。そのなかで、新型コロナウイルス感染症の拡大による生活や経済状況の悪化は、個人が置かれている状況をより複雑にし、悩みや課題の深刻化を招いています。また関連して、ジェンダーに根差した暴力の増加も懸念されています。

 REALs
は、感染症のリスクにより外出をすることができない状況下でもシリア難民たちが支援を受け、一人ひとりが抱える多様化・複雑化・深刻化した悩みや課題を解決できるよう、SNSやメールなど相談手段を多角化するほか、遠方に居住するシリア難民がアクセスできるよう新たな相談所の拠点を設置し、コミュニティのサポーターグループを組織する取り組みも始めました。

トルコで暮らすシリア難民の現状

 2011年のシリア危機発生から10年以上が経過し、現在、少なくとも360万人以上のシリア難民がトルコで生活を送っています。シリアから逃れ、トルコでの避難生活が長期化するにつれて、個々のシリア人が置かれる社会的・経済的状況は異なってきており、抱える悩みや課題も各家庭や個人によって多様なものとなっています。

 REALs2016年から活動を開始したメルスィン県には20221月時点で約24万人のシリア難民が登録されています。10人中1.3人がシリア難民という状況で、シリア難民の対人口比がトルコ国内で5番目に高い県となっています。その一方、同県で活動する支援団体の数はシリア難民の集中する他の県に比べ非常に少なく、多くのシリア難民が支援の手から取り残されています。また、シリア難民の多くが情報の不足や言葉の壁によりどういった支援や保護が受けられるか、どのような手続きを踏めばよいのかわからずにいます。

 さらに、新型コロナウイルス感染症の拡大は、外出規制や移動の制限による失業、ストレスや鬱の増加、公的支援サービスの営業時間短縮・停止による支援へのアクセス制限をもたらし、シリア難民の厳しい生活にさらに追い打ちをかけています。また、経済的困窮やストレスの増加は生計手段としての児童婚や、家庭内不和・家庭内暴力などのジェンダーに根差した暴力(Gender Based Violence、以下GBV)のリスクにつながっています。


 一人の難民が複数の悩みや課題を抱えているケースも多く、トルコで暮らすシリア難民の悩みや課題が多様化・複雑化・深刻化するなかで、一人ひとりの悩みや課題を把握して、それぞれに即した支援を行うことが求められています。

REALsのシリア難民支援とは

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 シリア難民が直面する課題を受け、REALsはアクデニズ地区、イェニシェヒル地区、トロスラル地区、メジットリ地区、エルデムリ地区の計5地区に居住するシリア難民を対象に、難民が利用できる支援についての情報提供と、一人ひとりの悩みや問題に応じた生活支援、法的支援、心理社会的サポート支援を提供します。

 まずREALsや現地行政、その他団体の難民向け支援やサービスについての情報発信をリーフレットやSNS、コミュニケーションアプリなどを用いて行います。特に支援の手から取り残されている脆弱性の高いシリア・イラク難民8,040人を対象に、相談窓口に訪問もしくは電話してきた難民の話を聞き、利用可能な支援やサービスの情報を伝え助言を行います。その際、その難民がどういった悩みや課題を抱えているのかを具体的に把握・特定し、その内容に応じて個別法律相談や心理社会的サポート、トルコ語通訳、プリペイドカードを利用した食料・生活用品配布、他の専門機関への照会などの支援を行います。トルコにおける権利や法律について学ぶセミナーも提供します。

 また特に深刻化が懸念されている家庭内暴力や児童婚など含むジェンダーに基づく暴力(GBV)については、上記と別途を予防啓発のためのセッションを、シリア難民380人を対象に行います。


 当事業では、他の事業地から離れており特に支援の手から取り残されているエルデムリ地区に居住するシリア難民が確実に必要な情報や支援を得られるよう、同地区内に新たに相談所を設置し、当事業で提供する支援を同地区の難民に紹介・発信するシリア人有志で組織されたサポーターグループを結成します。

 事業実施にあたっては、新型コロナウイルス感染症拡大予防対策を徹底したうえで、政府関係機関やメルスィン県で活動する他の専門機関とも情報交換や協力・連携を行い、より効率的かつ効果的に難民に支援の手を届けていきます。

今回の事業は、皆さまからのご寄付とジャパン・プラットフォーム(JPF)の助成により行われます。

認定NPO法人REALs (Reach Alternatives)とは

 REALsは「紛争・テロ・社会的な暴力」を防ぎ、乗り越え、共存できる社会の実現に向けて争い予防に取り組む特定非営利活動法人です。現在は、ケニア、ソマリア、南スーダン、トルコ、シリアで争いの当事者とともに問題の予防・改善・解決に向けて活動を行っています。20218月からはアフガニスタンで命の危険にさらされている人たちへの国外退避・保護支援も行うほか、困窮家庭への食料・生活支援も行っています。

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