≪アフガニスタン食料危機≫支援から取り残される女性や国内避難民など3,480世帯(24,360人)に、食料を配布

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REALsからのお知らせ

≪アフガニスタン食料危機≫支援から取り残される女性や国内避難民など3,480世帯(24,360人)に、食料を配布 4,400人の被災者に食料・生活用品の支援を届けます

 認定NPO法人REALs(Reach Alternatives)(東京都新宿区、理事長瀬谷ルミ子、以下REALs)は、昨年に続き、2023年3月よりアフガニスタン中央部で食料配布を行います。配布対象は、支援が不足している地域で、特に食料調達が難しい状況に置かれている女性や国内避難民など3,480世帯(24,360人) です。

 アフガニスタンでは深刻な食料危機が発生しています。国連人道問題調整事務所(OCHA)によれば、2022年1月から8月、2,400万人が食料不足に直面しており、特に中央部では、4割が支援を受けられていない状況です。外出や就労、教育が制限されている女性が世帯主の家族や、仕事や財産、家を失った国内避難民など、社会のなかで特に生きのびることすら困難な状況に置かれている人々が多く、危機的な状況です。

 食料を得るために、幼い子どもを児童婚や人身売買に出すほど追い込まれる家族も少なくありません。このような被害にあう人々を1人でも減らすために、REALsは特に支援から取り残されている人々に食料を届けていきます。

戸別訪問を行い、世帯ごとの状況やニーズをヒアリング。
戸別訪問を行い、世帯ごとの状況やニーズをヒアリングする様子。
写真中央の男性が7人の子どもを育てる家族。男性は2021年8月に失職し、現在収入はありません。
娘の一人は爆発に巻き込まれて片足を失いました。

アフガニスタンで続く食料危機

 アフガニスタンでは2021年8月のタリバン暫定政権成立以降、中央銀行の資産凍結や避難民の増加、ウクライナ危機による輸入食料の価格高騰などにより、社会・経済活動の混乱が続いています。さらに、自然災害が追い打ちをかけています。2021年から2022年にかけては干ばつが続いたことに加え、2022年6月にマグニチュード5.9の地震、7、8月に季節外れの豪雨が発生しました。多数の死傷者が出ただけでなく、国内の食料生産にも大きな打撃を与えています。

 また食料危機から派生した問題として、生計手段としての子どもの人身売買が増加しています。Save the Childrenの2022年3月の発表によれば、2021年8月からの間で12万人以上の子どもが人身売買の被害に遭った可能性があります。

食料危機のなか、さらに深刻な危機にさらされる人たち

アフガニスタン全体が危機に陥るなか、さらに食料調達が困難な立場に社会的に置かれている人たちがいます。

●女性:
 
現在アフガニスタンでは、女性の就労が一部分野を除いて制限されています。未亡人の家庭など、女性が世帯主を担いながら子どもを育てる家庭は特に深刻な影響を受けており、世界食糧計画による2022年4月の報告では、女性世帯主の家庭のうち実に97%が十分な食料を得られていない状況です。
 また、女性の外出には親族の男性の付き添いが求められており、女性が市場などへ食料を手に入れに行くことにも困難があります。
 親族の男性と生活していても、男性が家庭内での決定権を持っており、女性に十分な食料や物資が行き届かない場合もあります。 

●国内避難民:
 
紛争により居住地を逃れた国内避難民の多くは、家や家財道具、家畜などほぼすべての財産を失っています。2021年の時点で国内避難民の75%は何らかの負債を抱えており、42%は貧困状態に置かれていることが報告されています。特に地方から都市部に避難した人の場合、職業上求められるスキルの違いや経済の混乱による雇用の減少から、就労先を見つけることは困難です。国連人道問題調整事務所(OCHA)によると、国内避難民の59%は18歳以下の子どもです。
 また国内避難をせざるをえなかった背景に、経歴や出身民族などを理由にした迫害の危険がある場合、避難先でも身を隠しながら過ごし、結果として就労や支援の機会を得られないケースもあります。

 上記に加え、障がい者や高齢者、子どもが世帯主である家庭や、十分な食料を購入できる所得のない世帯、5歳以下の幼児や妊娠/授乳中の女性がいる世帯などが、食料危機が社会全体を覆うなかで特に深刻な危機にさらされています。

母娘の世帯
母娘の世帯。父親は亡くなり、娘は銃により怪我を負い障がいが残りました。
女性の外出に親族男性の付き添いが求められるなか、市場に行くことすら難しい状況です。

アフガニスタン中央部で、24,360人に食料を配布 命と生活をつなぐ緊急支援

 上記のような状況を受けて、REALsはアフガニスタン中央部で食料支援を受けられずに命や生活を危機にさらされている世帯に食料配布を行います。

・事業対象地:アフガニスタン中央部のカブール州、カピサ州、ロガール州、パルワン州、ワルダック州
・配布対象:3,480世帯(約24,360人)

 人口の多くが食料支援を必要とする状況のなか、特に食料を得にくい状況に置かれている以下のような世帯を優先して、配布対象を選定しています。

  1. 1.女性が世帯主である家庭 
  2. 2.国内避難民の世帯 
  3. 3.障がい者、高齢者、子供が世帯主である家庭 
  4. 4.生計手段を持たない世帯。食料事情や生活環境に応じて低所得世帯(月額4,000アフガニ以下) 
  5. 5.5歳以下の子供、または妊娠中・授乳中の女性がいる世帯 
  6. 6.慢性的な病気もしくは身体障害者のいる世帯 
  7. 7.過去4ヶ月間、援助物資(現金、食料など)を受け取っていない世帯

・配布内容:小麦粉や米、油、粉ミルク、マッチなど1世帯7人に対する1か月分の食料が入った食料バスケット

 2023年1~2月には戸別訪問を行い、世帯における食料状況のヒアリングに加え、「食料を受け取りに来られるか(職員による配送を希望するか)」「子ども用の粉ミルクなどは必要か」など各世帯の状況確認を行いました。

 食料配布にあたっては、外出が制限される女性や食料の持ち運びが難しい高齢者などには各戸を訪れて食料を渡すなど、個々の状況に応じて、支援を必要とする人へ確実に食料が届けられるようにします。
戸別訪問にて、食料支援ニーズのヒアリングを受けた一家。夫を失った母親が家長を担っています。
戸別訪問にて、食料支援ニーズのヒアリングを受けた一家。夫を失った母親が家長を担っています。

 REALsは2022年2月~6月にも、アフガニスタン中央部で困窮した2,200世帯(13,995人)への食料配布を行いました。食料危機が継続していることを受け、今回は2度目の実施となります。アフガニスタンが危機を脱するまで、同国で生きる人たちが追いつめられ、命や生活を破壊されることがないように、状況を注視しつづけ、関わり続けていくことが重要です。

 いま社会で弱い立場に置かれている人が、危機のなかで支援の手から取り残されることによって命を落としたり、子どもの人身売買などに追い込まれたりしないように、REALsは緊急支援を行っていきます。

 本事業は支援者の皆様からのREALsへのご寄付と、ジャパン・プラットフォームの助成により実施しています。

※REALsでは継続的に活動を支えてくださるマンスリーサポーターを募集しています。
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認定NPO法人REALs (Reach Alternatives)とは

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は争い予防に取り組む認定NPO法人です。現在の活動地は、アフガニスタン、シリア、トルコ、南スーダン、ソマリア、ケニアです。REALsは紛争やテロなどの争いを防ぎ、人と人が共存できる社会の実現を目指しています。争いの当事者となった人たちが、主体的に問題の予防や解決に取り組んでいけるように、REALsは現地での人材育成や争い予防のしくみづくり、社会のネットワーク構築などを行っています。 

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