シリア:平和と紛争の分岐点に立つ今
シリアは今、平和への道を歩むのか、それとも再び戦争に逆戻りするのかという分岐点に立っています。2024年12月のアサド政権崩壊により、50年以上続いた独裁政権と14年におよぶ内戦が終わりを告げました。
これまで、旧アサド政権は反対派と見なした北西部を中心に激しい空爆を続け、多くの市民が犠牲になる絶望的な状況が続いていました。政権崩壊後、空爆は止まり、約30万人の難民が帰国。2025年前半には最大100万人の帰還が見込まれています。
しかし、国土は荒廃し、経済は疲弊。国民の9割が貧困ライン以下で暮らし、水道や通信も不安定な状態です。さまざまな宗教・宗派が混在する「モザイク国家」と呼ばれるシリアでは、新たな国づくりは決して容易ではありません。
平和は、誰かが与えてくれるものではない
国連や政府主導の和平への取り組みが機能しないケースが増えている今、絶望したり、不安から目をそらして平和がいつか誰かから与えられるのを待っているだけでは、社会が崩れかけた時にその直し方が分からず、平和を選択する可能性を知らないうちに失ってしまうことにもなります。
和平プロセスを政府や他国任せにせず、市民が主体的に参画し、市民の声を反映する形で進めた場合、破綻する割合が64%下がるというデータもあります。にもかかわらず、過去数十年の和平の中で、市民が参画できているものは10%以下です。
REALsは、この事実に失望するのではなく、「まだ平和のために手を尽くし切っていない、つまり平和にはまだ“のびしろ”がある」と捉えています。
日本からシリアへ、そして世界へ
シリアの人々は日本に特別な期待を寄せています。
「日本の支援は条件を押し付けない」
「日本は戦禍から立ち直った国であり、最も厳しい内戦中もREALsのような団体が私たちを支え続けてくれた」
そう語られたこともあります。
大国の利害が絡み合うシリアだからこそ、軍事介入をせず、内戦中も人々に寄り添う支援を続けてきた日本への信頼は厚く、日本が果たすことのできる平和構築の役割はとても大きいのです。
一日でも早く平和を実現し、これ以上誰の人生も戦争により失われないように。この世界を変える一歩となるプロジェクトを、ぜひ共に動かす力をお貸しください。
シリアの人々と私たちの手の中に、平和のために行動する選択肢がまだ残されているうちに。