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UN Women (国連女性機関)と共同で、現地市民団体の力を伸ばす事業を実施
REALsは2020年から2021年の3月にかけて、トルコおよびシリアで女性や子どもの保護を主な活動として行う現地市民団体の能力強化事業をUN Women (国連女性機関)と行いました。
今年3月23日から26日にかけて「ジェンダーに基づく暴力の予防と被害への対応」についての研修を実施し、25名のシリアとトルコの活動最前線で働く現地団体職員が研修に参加しました。研修に同席した東京本部職員の市川による報告です。
研修はオンラインで行いました。右から2列目上から4段目が市川(参加者の安全のため画像の一部を加工しています)
REALs独自の研修プログラムを作成
REALsが実施した今回の研修では、ジェンダーに基づく暴力に関する重要なテーマとして、次の5つのテーマを取り上げました。①ジェンダーに基づく暴力の概要、②ジェンダーに基づく暴力の種類(児童婚・強制婚、生きていくためや家族を助けるためのサバイバル・セックス、障がい者など社会的に弱い立場にある人々の受ける被害など)、③具体的な予防と被害対応の方法、④国際法・国内法の枠組み、新型コロナウイルス感染症の流行下における適切かつ有効な支援の手段、⑤モニタリング・評価の方法などです。研修プログラムは事前に現地市民団体から日々活動する中での課題や能力強化のニーズを聞き取り、REALsが作成しました。
活発なディスカッション
研修は、REALsの経験や国際的な実例ももとに、できうるかぎり実践的で、研修の翌日から各参加者が日々の支援で活用できる内容になるような工夫を行いました。参加者が自分たちで立ち止まって問題や事例について考える問題解決型の内容になる点も重視しました。英語、トルコ語、アラビア語の同時通訳を駆使した研修となりましたが、グループディスカッションや質疑応答での参加者の発言が活発だったことが印象的でした。参加者から現在直面している課題について声が上がると、別の団体の参加者からも似たような事例や、対応方法などの知見が自発的に共有されていました。それぞれ過酷な支援状況下で目の前の人々に対応する日々のなか、あまり横のつながりを持つ機会のない団体同士が、お互いの課題や取り組みを参考にし合える場となりました。
参加者やUN Womenからは、「これまで受けたなかでも最も実践的で役立つ研修だった」といった声を聞くことができました。
新型コロナウイルス感染症の影響:暴力の増加と支援実施方法の課題
新型コロナウイルス感染症の感染拡大により、男性が家庭内で過ごす時間が増えたことや、失業による経済的困窮、複合的なストレスなどから、女性や子どもがそのはけ口となるジェンダーに基づく暴力が世界的に増加しているとの報告やデータが出ています。一方で、本来その対策のために行うべき、対面で被害者から話を聞いたり、イベントなど人を集めた場での啓発といった従来の活動は、感染防止対策のため難しくなっています。以前とは違った対応が求められるようになっていることで、それぞれの団体が課題を抱えていると痛感しました。そのようななか、実践的なノウハウとともに、団体間の関係構築の機会ともなる研修を提供できたことは、現地団体の活動の対応能力を高めるためにとても有効だと感じました。
UN Womenとは2021年度も引き続きジェンダーに基づく暴力の予防や被害対応のための事業を行う予定です。
これからもREALsは、現地の人たちが課題解決の担い手になっていけるようサポートを行っていきます。引き続きのご支援をお願いいたします。
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