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シリア出張レポート
2024年12月のアサド政権崩壊から、まもなく1年。
シリアでは新しい国づくりが始まっていますが、10年以上続いた紛争の影響は深く、いまも約1,650万人が支援を必要とし、700万人以上が国内避難民として暮らしています。 それでも現地を歩くと、壊れた街の中に「日常」を必死に取り戻そうとする人々の姿がありました。市場のにぎわいや無邪気に遊ぶ子どもたちの笑い声が、失われたはずの日常がゆっくりと戻り始めていることを教えてくれます。
REALsは今年10月下旬から11月上旬に、アレッポ・イドリブ地域を訪れ、人々が直面する課題とその中で芽生えつつある“平和の兆し”を一つひとつ確かめてきました。
今回の出張では、現地NGOや若者団体、女性主導の団体、避難民キャンプ、給水施設、村のコミュニティなど幅広い人々と時間をかけて対話しました。
どこでも共通して聞かれたのは、「一緒に地域を立て直したい」「平和な未来をつくりたい」 という強い意欲です。一方で現実は簡単ではありません。 家や土地の所有をめぐる対立、帰還民への見えない差別、紛争で心に負った傷、そして身近になりすぎた暴力の問題など、地域の分断を深める課題も浮かび上がりました。
こうした対立の背景には、水不足・インフラの劣化や収入の不安定さ、SNSで広がる誤解やヘイトスピーチなど、生活の不安が複雑に絡み合っていることも見てきました。
REALsができるのは、対話の土台をつくる支援です。感情の衝突だけでなく「暮らしの困りごと」から問題を分解し、調整役として現地団体や住民と共に、紛争予防の仕組みを整えていく役割が求められています。
壊れた街にも息づく、シリアの人々の温かさ
アレッポの街角を歩くと、驚くほど多くの人が気さくに声をかけてくれました。
「写真を撮って!」
「どこから来たの?」
と笑顔で寄ってきたり、アニメ好きの若者が、
「進撃の巨人が大好きなんだ!」
と嬉しそうに語ってくれたりしました。家族連れの親御さんが「この子、抱っこしてあげて」と子どもを預けてくれる場面もあり、初対面でも距離を感じさせないシリアの人々の温かさを強く感じました。人とのつながりを大切にする文化が、 壊れた街の中にも確かに息づいていることを実感した瞬間でした。
人々は、壊れた街で、壊れた心のままで立ち止まるのではなく、小さな希望を積み上げながら前へ進もうとしています。
REALsは、その歩みに日本から寄り添い、対話と共存の土台を築く支援をこれからも続けていきます。







