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孫と平和を守るため、あるおばあさんの想い
「おばあちゃん、守って!」
戦闘機の爆撃から逃げるとき孫たちが泣き叫んだ声を今も忘れられない、とシリアの避難民キャンプで暮らす68歳のナディアさんは言います。彼女たちが住むシリア北西部は14年にわたる内戦の被害により、がれきで埋め尽くされています。いま、彼女はひとりで十一人の孫を育てています。

「私たち家族は農園を営み、ブドウやイチジクを育て幸せに暮らしていました。二人の息子は大学を優秀な成績で卒業し結婚、仕事も順調でした。でも戦闘で村が襲われ、息子たちと夫は命を落としました。生き残ったのは孫たちと私だけ。アサド政権とロシアによる空爆のなか、泣き叫ぶ孫たちの手を引いて必死で走って逃げました。着の身着のままこのキャンプにたどり着きました。」
避難民用のテントはほこりっぽく、夏は灼熱に、雨が降れば水が漏れます。
「目の前で孫たちが咳をし、皮膚病や空腹で苦しんでいても、お金もなく働くこともできない私には何もしてあげられない。心が引き裂かれます。」
リアルズは、避難民キャンプで給水車支援と衛生用品の配布を行いました。
ナディアさんは「孫たちが久しぶりに身体や髪を洗うことができた。肌のかゆみも収まりシラミもなくなり、健康に暮らせるようになった」と喜んでくれました。
そんなナディアさんがいま恐れるのは、戦争が孫たちの命を奪うことです。
「息子たちの話を孫にするたびに今でも涙があふれ、つらいです。もう自分の命は惜しくない。でも、孫たちにはもう私以外ほかに誰も残っていない。孫が苦しんだり命を落としたりする姿を見るくらいなら、私は死んでしまいたい。」

シリアでは、独裁政権に反対する住民たちが住む北西部を中心に激しい空爆が続き、多くの市民が犠牲になりながら、国連も国際社会もそれを止めることができない絶望的な状況が14年続いていました。
そんななか、昨年12月にアサド政権が崩壊したことで、シリアでの戦争はようやく終結の兆しを見せています。しかし、平和が定着するか、再び混乱に陥るか――シリアはいま、未来を左右する重要な分岐点に立っています。
「孫たちだけでなく、シリアを想ってくれる日本の人たちにも、絶対に私と同じような苦しみは経験してほしくない」そう語ったナディアさんの願いは、シリアの人々の切実な思いでもあります。
このような声に応えるために、REALsは、シリアの人々とともに、平和へと続く未来をつくるために、活動を続けています。
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