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#世界難民の日「避難生活をするようになってから、夫の暴力が始まった」
私は14歳で結婚しました
紛争で避難生活を送るようになってから、夫の暴力が始まりました
6月20日は世界難民の日。
紛争や迫害により避難生活を強いられる人の数が増え続けるなかで、ジェンダーを理由にして発生する暴力も深刻化しています。
紛争や避難生活のなかで女性や少女が直面する危険について、フーダさん(仮名)の経験をもとにご紹介します。
シリア北西部で避難生活を送る人たちが暮らすキャンプの一部
簡単な施錠しかできず、テントが密集している
住む場所を追われたことや悪化する生活状況へのストレスが
暴力や罵倒になって襲い掛かる
フーダさんはシリアで生まれ育った20代の女性です。
2011年に始まった紛争により、シリア国内で避難生活を送ることになりました。
それまでは「普通の生活をしていた」というフーダさん。
避難により生活状況がどんどん悪くなり、働くことができずに経済的な不安も膨らんでいくなか、夫からフーダさんへの心身に対する暴力が始まりました。
絶え間ない殴打や罵倒を受けるなかで、フーダさんの精神状態は悪化していきます。
結果として夫とは離婚することになりましたが、子どもたちが夫に引き取られたことで、フーダさんは自ら命を絶つことを考える状態まで追い込まれていきました。
紛争や避難生活のなかで深刻化する女性や少女に対する暴力
人々が築いてきたインフラや社会制度が破壊され、最低限の衣食住も不足するような避難生活を強いられるなかで、紛争によりジェンダーに起因して起こる暴力が深刻化します。
たとえば紛争が続く南スーダンでは、紛争下で生きる女性や少女の最大65%が身体的・性的な暴力を受けたと発表されています(※1)。そうした状況下で男性も安全ではなく、520人のシリア難民の男性や少年を対象に行われた調査では、10.8%が性的暴行を受けたことがあると回答しています(※2)。
ジェンダーに根差した暴力は身体的・性的暴力だけではなく、言葉を使って心理的に苦しめたり、経済的に虐待したりといったかたちを取ることもあります。
また「過酷な避難生活を続けさせるよりは、裕福な男性と結婚させて経済的に安定させてあげたい」と幼い娘の児童婚を選ぶ家族もいるなど、慣習上許容されてきたために暴力として認識されていないケースもあります。
しかし、たとえば児童婚は少女の教育の機会を奪うだけでなく、早すぎる妊娠・出産による心身へのリスクや虐待に遭う懸念など、負の側面の大きいものです。
ジェンダーに根差した暴力の危険について知り
自分自身や周りの人を守れるように
難民や避難民となった人たちがジェンダーに根差した暴力から自分自身、そして周りの人を守れるように、REALsは予防啓発の活動に取り組んでいます。
フーダさんもREALsの心理カウンセリングの支援を利用しながら、予防啓発の活動に参加しました。
ジェンダーに根差した暴力や児童婚の危険性について知るなかで、フーダさんは以下のように語っています。
私が結婚する前に児童婚の危険を教えてくれる人がいたらよかったのにと思っています。
だから今は私から周りの女の子たちに、REALsの活動で学んだこと、ジェンダーに根差した暴力や児童婚の危険や対処法について伝えています。
シリアの避難民キャンプで行っているジェンダーに根差した暴力の予防啓発セッション
写真は女性に向けた回の様子
ジェンダーに根差した暴力は人を深く傷付け、紛争が終わり復興が進んだとしても消えない苦しみを残してしまうことがあります。ジェンダーに根差した暴力が起こり、容認されるような状況は、女性や少女が積極的に社会に関わっていこうとすることを阻む大きな要因にもなりえます。
REALsは女性が被害者としてではなく、社会で意思決定に携わる一員としてその力を発揮していけるように、ジェンダーに根差した暴力の予防啓発や女性のリーダーを育成する活動に取り組んでいます。