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ジェンダーに根差した暴力を防ぐ|避難民キャンプでの活動(シリア)
REALsはシリア北西部の国内避難民キャンプで、家庭内暴力や児童婚、経済的な虐待など男女間の力の不均衡を背景に起こるジェンダーに根差した暴力の予防のための啓発活動に取り組んでいます。
避難民キャンプでのジェンダーに根差した暴力 予防・啓発セッション
紛争や避難生活の環境では、安全が確保されず、重大なストレスが生じることから、ジェンダーに基づく暴力が増加する傾向にあります。
セッションでは以下のような問いを投げかけています。
「力とは何か、暴力とは何か?」
「男女の役割にはどのような違いがあるか?それは何に基づいているか?」
「紛争が始まってから家庭内での言い争いは増えたか?」
参加者の答えを聞きながらジェンダーに根差した暴力を一緒に考えていくことで、当たり前と考えられていることも暴力でありうること、またそれが何を背景として起こっているのかを理解することを通じて、暴力の予防を目指しています。
啓発に利用している動画の一部
性暴力のサバイバーに対する偏見について伝えるシーン
ジェンダーに根差した暴力は表に見えづらく、また暴力として認識されていないケースも多くあります。
たとえばセッションでは以下のような質疑応答がありました。
「ある女性が夫に殴られていてもそれはその夫婦のことで、私に関係がありますか?」
暴力は目に見えて殴られている人だけではなく、一緒に暮らしている子どもや近隣の人たちにも影響を与えます。どんな人も安全で安心に過ごせる社会を築いていくために、他人事と区切らずに介入の糸口を探っていく必要があります。
「介入することは自分にとってもかなり危険です。」
懸念の通り、介入者が危険にさらされる場合もあります。
介入することによるリスクについては、行動を起こす前の段階で十分に検討することが自分の身を守るためにも必要です。結果自分には介入できないとなった場合には、介入できる立場にある人や組織を探し、暴力に遭っている人を孤立させないようにすることが大切です。
REALsは国内避難民キャンプにおいて、啓発セッションを開いており、2023年10月~2024年2月の期間では、1,099人の国内避難民の人たちが参加しています。
紛争や避難生活のなかでは、社会インフラの崩壊などにより支援の要請先や相談先を見つけることは困難です。そのためREALsの啓発活動では、事例に応じて支援を相談できる機関の紹介も行っています。
ジェンダーに根差した暴力に脅かされる人やコミュニティが予防・解決に向かっていけるような情報発信を続けています。
ジェンダーに根差した暴力について伝えるリーフレット
セッションの参加者から周りの人に情報を伝えてもらうことで
ジェンダーに根差した暴力の予防を広めていけるように工夫しています