スリランカ事業
国内避難民の健康改善支援事業
REALsはスリランカ(ワウニア地域)において、2009年7月〜9月の2ヶ月にわたり、内戦終結後に発生した国内避難民(IDP)キャンプに滞在する国内避難民のうち、衰弱のリスクが最も高いとされる妊娠女性に対しての支援を行いました。キャンプに滞在する妊産婦延べ5,397名に対して栄養食品を配布、また2,697名に対して、栄養に関する情報を記載したパンフレットを配布しました。
この結果、少なくとも7割の妊産婦の体重が増加し、8割の妊産婦が疲れにくくなった事が聞き取り調査によって明らかになりました。スリランカ保健省やIDPキャンプのヘルスセンターからも、多くの感謝の声が寄せられております。(写真:栄養食品を受け取る妊婦)
助成:ジャパン・プラットフォーム
地雷除去事業
20年にもわたる内戦によって、スリランカの北東部には数えきれないほどの地雷と不発弾が残存した状態となったため、90万人ともいわれる人々が避難を余儀なくされました。150~200万個ともいわれる地雷の存在は、スリランカの復興・平和構築を進めるうえで大きな障害となっています。対人地雷は、国内避難民の帰還や地域社会の復興を妨げているほか、地雷の被害に遭った人々の就労や収入創出を困難にすることで、開発や発展も妨げています。そこでREALsは、地雷・不発弾問題に取り組むことにより再定住を促し、復興のための平和と治安を構築する活動に取り組みことにしました。
まず、2004年1月から辰巳竜吾、一志康洋の2名の日本人地雷テクニカル・アドバイザー(TA)をスリランカに派遣し、現地のスリランカ人を地雷除去員として訓練しました。その後、バブニヤ県のカッパガプラム、ムナヤマドゥー、ムガランクラム・ファームⅡの3か所の地雷原で地雷除去作業を実施しました。REALsが地雷行動計画を策定し、それらを政府や様々な支援機関、NGOと共有してプロジェクトを展開しました。
助成:外務省(日本NGO支援無償資金協力)
和解支援事業
20年にもわたる内戦によって、スリランカの北東部には数えきれないほどの地雷と不発弾が残存した状態となったため、90万人ともいわれる人々が避難を余儀なくされました。150~200万個ともいわれる地雷の存在は、スリランカの復興・平和構築を進めるうえで大きな障害となっています。対人地雷は、国内避難民の帰還や地域社会の復興を妨げているほか、地雷の被害に遭った人々の就労や収入創出を困難にすることで、開発や発展も妨げています。そこでJCCPは、地雷・不発弾問題に取り組むことにより再定住を促し、復興のための平和と治安を構築する活動に取り組みことにしました。
まず、2004年1月から辰巳竜吾、一志康洋の2名の日本人地雷テクニカル・アドバイザー(TA)をスリランカに派遣し、現地のスリランカ人を地雷除去員として訓練しました。その後、バブニヤ県のカッパガプラム、ムナヤマドゥー、ムガランクラム・ファームⅡの3か所の地雷原で地雷除去作業を実施しました。REALsが地雷行動計画を策定し、それらを政府や様々な支援機関、NGOと共有してプロジェクトを展開しました。
2006年の事業完了までに、REALsは225個の地雷と85個の不発弾を除去し、バブニヤ県内にある除去地域で約14万6千平方メートルの土地を安全にしました。地雷除去が完了した土地は、避難先から帰還した現地住民に引き渡され、カッパガプラムでは136世帯・650名の村民が農地や居住地を再び利用できるようになりました。
津波被災者への衣食住支援事業
2004年末に発生したスマトラ沖地震による津波被災から10ヵ月を経た2005年半ばにおいても、スリランカ東部沿岸地域はなお復興の途上にありました。スリランカの他の地域と東部地域の間にはもともと顕著な経済格差があったうえ、津波による被災が追い討ちをかけたため、移住を余儀なくされた住民やもともと家や土地を持っていなかった住民、家族と死別または離散した住民たちは、日々を生きる収入機会も全く得られなくなるという状況に陥ってしまいました。
また、東部のバティカロア県南部からアンパラ県中部にかけての少数派のタミル人居住地域では、古いカースト制度の慣習の影響もあり、被災者がコミュニティ内で得られる収入機会の選択肢も限られていました。このような状況から、REALsは、東部沿岸地域で津波被災以前から続いている社会的。経済的な諸状況を視野に入れたうえで、被災地域の自立へ向けた中長期的な復興への取り組みを開始しました。
具体的には、緊急および仮設シェルターの建設、道路復旧整備、共有井戸の建設、トイレや衛生設備の設置、水タンク・水道管の敷設、コミュニティセンターや崩壊家屋の修復といった住居に関わる支援や、生活物資の配布、調理器具や自転車、大工道具やレンガ用品の提供といった生活用品の支援、就業のためのリーダー育成教育、村落協働研修や職業訓練といった収入機会の拡大のための支援を行いました。
JCCPは、事業を実施するうえで、被災したコミュニティの住民たちがみずからのコミュニティの能力開発に責任を持って取り組むよう、住民主体のイニシアチブを組み込んだ支援を展開しました。
津波被災者への心のケア事業
REALsは、2004年の終わりに発生したスマトラ島沖地震による津波災害をうけたスリランカ北部から東南部の沿岸地方のうち、最も深刻な被害を受けたトリンコマレー県とアンパラ県において、村落巡回カウンセラー活動による「心のケア」支援を実施しました。「心のケア」支援とは、長期にわたる不安定なキャンプ生活によって避難民の間に生じる様々なトラウマやストレスのうち、表面的には分からないが深刻な心理状態を抱えたケースを洗い出し、専門医およびカウンセラーがすばやく対処できる体制を確立するための支援です。また、それぞれの地域やキャンプに特有の問題、各年齢層に固有な問題、家族構成や居住環境に特有の問題などを早期の段階で明らかにし、被災家族が自立した生活が営めるように専門家と非専門家との連携をつくり、住民レベルで持続した支援体制を築く取り組みでもあります。
被災者が収容されている難民キャンプや被災村では、子どもたちにとっての遊びの場や機会が失われていたほか、親たちも精神的息抜きができる環境ではなく、子どもたちに配慮する時間的・心理的なゆとりがないのが実情でした。そのため、とくに被災した子どもたちの間には、水を怖がる、不眠に悩む、悪夢を見る、無気力、乱暴な行動など、様々な心的ストレスによる症状が見られました。「心のケア」支援とはそうした症状に対して、「遊び」の場を設けることで子どもたちのストレスを緩和させ、健全な日常生活に復帰させることを目指した支援です。子どもにとって「遊び」の場というのは、社会性を身につけ創造性を培うという点で重要なものでもありますが、それ以上に、それぞれの村を担当するJCCPのカウンセリング・アニメーターは、津波被災キャンプにおいて、他の村のボランティアと連携しながら地域キャンプを巡回し、被災者たちの話を聞き、心のケアを行いました。遊びの種類は、伝言ゲーム、ゴム跳び、数字ゲーム、いす取りゲームなど、約30種あり、年齢や症状により使い分けます。カウンセリング・アニメーターたちは、子どもたちと遊ぶ以外にも、大人を含む被災者全体の話を親身に聞くカウンセリング活動を実施しており、その記録をつけ、深刻な心理的問題を抱えるケースが見受けられた場合は、関連医療機関に報告し、専門医による治療を行えるようにしました。
REALsは、村内巡回カウンセリング・アニメーターを津波被災コミュニティ居住者から選ぶことにしました。これにより、被災者たちは同じ悩みを理解する相手に対してより心を開きやすいという効果があったほか、対象コミュニティに属する居住者がプロジェクト後も引き続き、コミュニティが抱える社会心理的問題や専門医の治療が必要とする問題を関連機関に報告する役割を果たす体制がつくられました。
また、REALsは、現地NGOとともに、アンパラ県保健省の医師たちによって開かれている県レベルの「心のケア」調整会議において、NGO調整の取りまとめ役も務めました。
アンパラ県では、県内6ヶ所の公立病院内の保健省事務室に、医師やカウンセラーを被災地に派遣するための連絡体制が整備されました。REALsによる事業は、現地で最も初期の「心のケア」支援であるだけでなく、保健省と恒常的な連携を継続した唯一の活動であると、保健省事務局が設置されているカルムネ病院とパーラムネ病院から評価を受けました。