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活動レポート

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国内避難民キャンプと周辺コミュニティにおける共同作業を通じた民族融和と平和的共存の促進事業

・事業名 :共同作業を通じた民族融和と平和的共存の促進事業 

・実施時期:2018年11月2019年8月 (9ヶ月) 

・事業地 :南スーダン 首都ジュバ近郊の国内避難民キャンプ 

2018年11月から2019年8月まで、「中央エクアトリア州ジュバ市国内避難民キャンプと周辺コミュニティにおける共同作業を通じた民族融和と平和的共存の促進事業」を行いました。 

事業の背景

南スーダンは2011年にスーダンから独立したものの、2013年12月と2016年7月に国内で武力衝突が発生し、多くの国民が国内外への避難を余儀なくされました。2018年6月に和平合意「ハルツーム宣言」が締結されましたが、その後も、南スーダン各地で戦闘が発生し、2019年9月時点で南スーダンにおける国内避難民はおよそ146万人にのぼっています。2016年以降、本事業地となっているジュバ市近郊の3つの国内避難民キャンプ(グンボ地区、マハド地区、ウェイステーション地区)において、民族間の緊張の高まりや、2013年から暮らしている国内避難民と2016年以降に避難してきた人々との間での紛争、また、避難民と周辺コミュニティの住民との摩擦が見られるようになりました。 

事業概要

そこで、REALsは、ジュバ市近郊の国内避難民キャンプと周辺コミュニティにおける紛争管理研修や多民族混合グループでの共同作業を通して、民族間の関係を改善するための事業を行いました。 

まず、3つの事業地(グンボ地区、マハド地区、ウェイステーション地区)において、指導者向けの効果的な指導の仕方を学ぶ研修や、指導者とユースリーダーを対象にした紛争管理研修を行いました。また、3地区の指導者とユースリーダーによって合同の意見交換会が開かれ、各地区の成功事例や経験が共有されました。 

また、事業地3地区において実施された野菜栽培研修・食加工研修では、国内避難民や周辺地域住民、異なる民族から成る混合グループが共同で作業を行うことで、異なる背景を持つ人々が協力的な関係を築きました。 

さらに、紛争管理研修を受けたユースリーダーが、およそ2,200人の周辺住民を対象に、平和的共存に関する啓発活動を行いました。この活動は、ユースリーダーが自ら企画・準備・実施に携わりました。 

 

このような事業により、コミュニティが暴力ではなく平和的な方法で争いや紛争に対処する能力が向上し、民族間の対立が緩和されたことが確認されました。 

紛争管理研修を終えたユース・リーダーたち(グンボ地区)

指導者やユース・リーダーの紛争管理に関する知識理解度を確認する研修(マハド地区)

1:紛争・暴力予防と対立緩和の指導者・若者の能力強化

REALsは、201811月から20199月まで、南スーダンの首都ジュバ市近郊の3つの事業地(グンボ地区、マハド地区、ウェイ・ステーション地区)において、国内避難民と周辺地域住民を対象に、指導員研修、紛争管理研修、意見交換会を行いました。

国内避難民キャンプには、各地域の管理を行う指導者がいます。コミュニティの問題を明らかにし解決するためには、指導者とユース・リーダーである若者との間の信頼関係が必要です。しかしながら、本事業を始める前は、信頼関係が弱く、指導者による指導方法に対して不満を持つユース・リーダーもいました。そのため、REALsは、指導者に、ユース・リーダーに対して個別指導や助言を行うにあたっての心構えや傾聴の姿勢を学んでもらう指導員研修を行いました。この研修に参加した指導者は、効果的な個別指導(メンタリング)を学び、ただ「叱る」のとは違う、より建設的なアプローチを身につけました。その結果、若者からは「指導者からの助言が問題解決に役に立った」「指導者が自分を尊重してくれた」などの声が聞かれ、ユース・リーダーである若者と指導者がより良い関係を築くことができました。

また、REALsは、これまでの事業に引き続き3地区の指導者とユース・リーダーに対して紛争管理研修を行い、争いを平和的に解決するためのスキルを身につけてもらいました。2018年までの2年間も、紛争管理研修を実施してきましたが、今回はREALsの現地職員だけでなく、指導者も一部の内容をユース・リーダーに教える役割に担いました。ユース・リーダーは、研修進める指導者に協力的で、「教わった内容はコミュニティの現状をとてもよく反映していて、コミュニティ内で起きている争いを課題として扱っているので非常に興味がもてた」という意見が聞かれました。自分たちが身につけた「暴力を用いないで争いを解決する方法」を、実践するだけでなく、他の人に伝える方法を身に着けることができました。彼らが、避難生活を終えて地元に帰った後、より多くの南スーダン人にこの紛争管理方法を伝え、平和を広げていくことが期待されます。

さらに、3地区の代表者合同で意見交換会も開催しました。そこでは、指導者とユース・リーダーが成功事例や経験、課題などを共有し、新たな学びを得ることができました。

指導者の役割に関する研修(マハド地区)

紛争管理研修で指導者がユース・リーダーに指導する様子(ウェイ・ステーション地区)

意見交換会で3地区の指導者とユース・リーダーの代表が経験や課題を共有した。

2:共同作業を通じた対立緩和・融和の促進

REALsは、国内避難民と周辺地域住民が、野菜栽培と収穫した野菜を長期保存するための加工作業を共同で行うための支援を行いました。共同作業を通じて、異なる背景を持つ人たちが民族や国内避難民、周辺コミュニティという違いを越えて交流し信頼関係を築くことを目的として行われました。研修中は、参加者が共同で調理器具を使い、協力して作業を行い、出来上がった加工食品を参加者で平等に分け合う様子が見られました。また、研修の参加者からは、「他の民族の人との共同作業を通じて、他の民族の料理や文化を知ることができた。研修後も研修で出会った人たちとの交流が続いている」「周辺コミュニティの人たちは以前キャンプに来るのを恐れていたが、今は恐れることなくキャンプに出入りできる」といった声が聞かれました。

持続的野菜栽培研修参加者への共同作業に対する認識・実践に関するモニタリング
 

野菜栽培研修で実践的な訓練を受ける受講者(グンボ地区)

講師から食料加工の実技研修を受ける受講者(マハド地区)

食料加工研修を終えた受講者

3:保護、平和、融和に関するコミュニティ啓発

ジュバ市近郊の3地区(グンボ、マハド、ウェイ・ステーション地区)において、ユース・リーダー88人が、およそ2,200人の住民を対象に、保護、平和、民族融和についての啓発イベントを行いました。このイベントは、ユース・リーダーが企画から実施まで自分たちで行った活動です。ユース・リーダーは、「部族主義の原因と影響、部族主義に基づくコミュニティ内の権力闘争をなくす方法」「どのようにコミュニティで平和的共存を広げることができるか」「家庭内暴力や児童虐待の原因と影響、予防方法」「薬物中毒とアルコール中毒の原因とコミュニティ内での予防方法」等のトピックを自分たちで決め、事前に研修で学んだ様々な手法を用いながら啓発イベントを実施しました。啓発セッションに参加した住民からは、「ユース・リーダーから平和的に暮らす方法をたくさん学べた」「啓発に参加した親は、地域の他の若者や子供のロールモデルになれる」という声が聞かれました。REALsが事業を終了した後も、ユース・リーダーが中心となって持続的な平和活動を行うために大きな一歩となりました。

啓発イベントで大勢の住民の前にて語りかけるユース・リーダー(グンボ地区)

イベントでロールプレイを通じて啓発活動を行う様子

4: 事業のまとめ

20198月に「中央エクアトリア州ジュバ市国内避難民キャンプと周辺コミュニティにおける共同作業を通じた民族融和と平和的共存の促進事業」が終了いたしました。

事業地のグンボ地区、マハド地区、ウェイ・ステーション地区では、国内避難民間、国内避難民と周辺コミュニティとの間での対立が生じていました。REALsは、この課題を解決するため、指導者を対象とした効果的な指導法の研修、ユース・リーダーと指導者に紛争管理研修、野菜栽培・食品加工の共同作業を通じた民族融和、ユース・リーダーによるコミュニティへの啓発活動への支援を行いました。

2016年時点では、3つの事業地で争いが起きた際に、住民がすぐに感情的になり暴力を用いる傾向がありましたが、事業終了時には暴力的解決の割合が0%になるなど、争いを暴力ではなく他の手段で解決するようになったことがわかりました。さらに、事業を始めた当初は、喧嘩をしている場面を見た家族や同じ部族の人々が応援のために駆けつけ、より大きな争いに発展することがありました。しかし、事業終了時には、家族や近隣住民が紛争を止めるため具体的な行動をしているケースが増加しました。

また、マハド地区では、地区を代表する3つの民族Anyuak, Dinka, Murleを合わせてThree Houses(3つの家族)と呼んでいましたが、REALsの活動に参加している指導者たちが話し合い、自分たちのことを新たにキリスト教において神が作った初めての人間であるADAM(アダム:A=Anyuak, D=Dinka, M=Murle)と呼ぶようになりました。彼らの認識が3つの家族から1人の人間に変わったことは、コミュニティの指導者間の一体感が高まったことを表しています。本事業の研修に参加し、知識やスキルを身につけた指導者やユース・リーダーには、自分たちの地域の中で、さらなる啓発活動や民族間の平和のための活動を自ら続けていくことが期待されます。

異民族の男女が協力してのパン作りの様子

本事業はジャパン・プラットフォーム(JPF)と助成と皆様からのご寄付により実施されます。
また、
JCCP M株式会社様よりご協賛をいただきました。

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