共同作業を通じた民族融和と平和的共存の促進

認定NPO法人REALs(リアルズ:旧日本紛争予防センター)は争いを予防し、人と人が共存できる社会をつくる国際NGO。ご寄付は寄付金控除の対象になります。

活動レポート

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共同作業を通じた民族融和と平和的共存の促進

事業の背景

南スーダンは60以上の民族から成る多民族国家で、REALsは2009年から同国で活動を行っています。2011年にスーダンから独立した南スーダンでは、2013年12月以降、政権内の派閥闘争が激化し内戦に発展しました。2016年7月には首都ジュバで激しい武力衝突が起き、それをきっかけに戦闘が全国に飛び火しました。20167月には首都ジュバで激しい武力衝突が起き、それをきっかけに戦闘が全国に飛び火しました。20186 月に和平合意「ハルツーム宣言」が締結された後も、武力衝突が発生し、国内避難民(故郷を追われ国内の別の場所での避難生活を強いられる人々)の数が増加しました。20199月時点での国内避難民数は1,465,542人となっています (OCHAより)

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(地図は外務省ホームページから引用)

国内避難民キャンプや周辺の地域では、さまざまな原因による対立があります。民族の違い、国内避難民と周辺コミュニティのトラブル、従来からの国内避難民と新しく来た国内避難民との間の対立などです。さらに、政情不安や食糧難といった厳しい状況から、暴力に至るいさかいが日常的に起きています。

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事業概要

REALsは2016年12月より、多民族が平和的に共存するコミュニティづくりを目的として、首都ジュバ近郊の国内避難民キャンプの国内避難民と地域住民を対象に、コミュニティ内の争いを解決するユース・リーダーの育成と多民族による共同作業を通じた融和・信頼醸成の取り組みを行っています。

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REALsの取り組み:ユース・リーダーの育成

問題が起きた時に、暴力に頼らず平和的に解決できるユース・リーダーを育成するため、紛争の予防、調停や解決、リーダーシップを学ぶ研修を行っています。次の世代を担うユース・リーダーと、現在の有力な地域の指導者が、お互いに協力しながら紛争に対処できるような関係づくりも支援しています。また、育成されたユース・リーダーが中心となって、より多くの人々に平和的な問題解決を広める啓発活動ができるよう、研修を行っています。南スーダンの人々が自らの力で紛争を解決し、平和を維持できるようになることを目指しています。

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REALsの取り組み:平和的共存のための共同作業

国内避難民や地域住民が共通の課題の解決のため共同作業を行い、ともに働くことを通して、民族、国内避難民、周辺コミュニティの違いを超えた交流を作り出します。具体的には、深刻な食糧難という共通の課題に対して、野菜の栽培作業と、収穫した野菜を長期保存する食料加工ができるよう、環境の整備と技術指導を多民族グループにて行っています。

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REALsの取り組み:民族融和度の調査分析

REALsでは、多民族の平和的共存と関係改善のレベルを定量化して測るために、「民族融和度の調査分析」を行っています。平和構築を行ううえで、「平和的な共存」「和解・融和度」という状態を的確に分析し変化を把握することは極めて重要ですが、国際機関含めて、いまだ標準化された方法はありません。REALsでは、独自の指標を策定して、平和的共存の取り組みの効果を測定し、事業の評価と改善に活用しています。

例えば、この調査では、国内避難民キャンプの一つであるグンボ地区において、1カ月に紛争を見聞きする数の平均値が事業開始前は12.8回でしたが、2019年8月の事業終了後は5.5回に減少したことがわかりました。

事業の成果

(国内避難民キャンプ3地区の事業(2016年12月~2019年8月)の合計:2020年3月時点)

・指導者およびユース・リーダーに紛争管理研修を実施。

・住民のべ5,846人に信頼醸成や暴力予防についてのコミュニティ啓発を実施。

・住民のべ3440人に民族を超えた共同作業にむけて野菜栽培・食品研修を実施。

ユース・リーダーの紛争解決割合の増加

訓練・啓発を開始して間もない2017年5月と比較すると、事業終了後の2019年9月は、ユース・リーダーの紛争解決率が11%から21%に増加しています。他にも、近隣住民や家族が紛争を解決する割合が増えています。事業開始前は、紛争解決をするのは基本的に指導者の役割とされ、他の人々は喧嘩やトラブルに無頓着であったり、むしろ問題を大きくさせていました。しかし、本事業によってユース・リーダーや地域住民に知識や技術が普及したことによって、問題が小さいうちに身近で解決することができるようになりました。指導者やユース・リーダーの紛争解決の手法を住民が見てノウハウを実践する事例も複数報告されており、紛争解決のノウハウが住民にも広がっていることが考えられます。

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紛争解決を行った人(3事業地の平均)

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