- 争い予防
- 緊急支援
- 南スーダン
南スーダン:栗田工業株式会社のご支援で、国内避難民キャンプに井戸とトイレを設置
REALsは、水処理企業である栗田工業株式会社(以下、栗田工業)からの水資源および公衆衛生の問題の改善を目的としたご支援により、南スーダンの首都ジュバにあるマンガテン国内避難民キャンプで、現地の人々が清潔な水を利用し、衛生的な環境で生活できるよう、井戸とトイレの修復等を行っています。
2020年度はいただいたご支援で、マンガテンキャンプに暮らす避難民の人々と周辺の地元住民とがともに使うことができる井戸と、キャンプ内のトイレの修復を行いました。
0基/11000人だった井戸、トイレ
日本では当たり前に身近な「安全な水」ですが、現在世界の3人に1人が安全な飲み水を手に入れることができていません(※1)。南スーダンでは、約550万人が給水・衛生分野で支援を必要としています。安全な水が得られる人は限られ、人口の約74%が水を原因とする病気にかかっています。
マンガテンキャンプには国内避難民約11,000人が暮らしていますが、栗田工業のご支援をいただくまでは使用可能な井戸、トイレは一基もありませんでした。過去に設置されたものはどれも壊れていたり、排泄物が溜まって使えなくなったりしたまま放置されていました。
(※1)国連2021年世界水の日サイト
https://www.un.org/en/observances/water-day
修復前のトイレ内に溜まっていた大量のごみ
修復前のトイレの例
このため、生活用水や飲み水は地面に溜まった水や川の泥水などを使うしかありませんでした。また、人気のない草むらなど野外に排泄に行かざるを得ず、衛生上の問題に加え、特に女性が性的暴行の被害に遭う危険に常にさらされていました。
栗田工業はこうした問題を改善するためご支援をお寄せくださり、井戸1基と、トイレ6基・シャワールーム2室からなるトイレ棟1棟の修復を行うことができました。これによって、700~1,000人が井戸を使うことができるようになり、約800人がトイレを使うことができるようになりました。
修復した井戸
キャンプ住民(特に女性や子ども)がトイレの使用開始を待ちわびて様子を見に来ている
トイレの壁には現地の民族の言葉で「トイレの後は手を洗おう」というメッセージが
●「これまでキャンプ内で飲み水用の貯水タンクが1つしかありませんでした。洗濯や炊事、身体を洗うときには、川から泥水や不衛生な水を汲んで使っており、感染症のリスクも高く不安でした。支援で井戸が修復され、安全で衛生的な水を使えるようになりとても嬉しいです。」(21歳、女性)
●「女性や女の子はキャンプの外に排泄に行くことでレイプ被害に遭う危険がとても高かった。尊厳もプライバシーも深く傷つけられてきた。わたしたち女性の命を助けてくれて本当に感謝している。」(18歳、女性)
住民の手で公平に、維持しながら使い続けられるように
修復とともに、整備した井戸やトイレを人々が争わず、持続的に使っていけるようにするための研修も、栗田工業のご支援で行いました。
まず井戸を主体的に維持管理するために、マンガテンキャンプの住民代表や、井戸をともに使う周辺地域住民の代表などから、井戸管理委員会を組織し、水と衛生管理に関する研修を実施しました。さらに、水をめぐる争いを防ぐための知識と手法を身に着ける紛争予防研修も行いました。
井戸管理委員会にはさまざまな研修を行いました
コロナ禍で高まり続ける水・衛生支援の必要性
栗田工業には、今回も温かいご支援をいただきましたこと、改めて御礼申し上げます。
なお、2021年度は同社からのご支援により、南スーダンでの水アクセスの改善に加えて、新型コロナウイルス感染症を予防するための物資配布と衛生研修を行う予定です。
昨年から続く新型コロナウイルス感染拡大の影響は、南スーダンのすでに深刻な生活環境をさらに悪化させています。感染予防のためにも、水と衛生分野における支援の重要性が高まり続けるなか、2021年度も栗田工業と共に同地での問題に取り組んでまいります。