- 争い予防
- 南スーダン
スラムの若者のライフスキル向上支援
南スーダンの首都ジュバでは、戦争で親をなくした孤児、貧困により親が子どもを養ったり学校に送ったり出来ない家族、 武力組織にとらわれていた子ども、難民キャンプから帰ってきたけれど住む家がない人々があふれています。
REALsは、2010年の1月からジュバに事務所を設置し、スーダンにおける支援を実施しています。 家や親をなくして路上生活をするストリートチルドレンや若者に対し、啓発を行うとともに職業訓練を実施しています。
職業訓練では、ホテルやレストラン、事務所などで需要の高い清掃人やウエイター・ウエイトレスとして働ける人材を養成するために、ハウスキーピングと給仕・調理補助のトレーニングを行います。
修了生には就職先の斡旋をしますが、これからは一人ひとりがここで身に付けた知識と技能をいかして働き、家族や自分自身の生活を改善し、それぞれの人生を切りひらいていくことになります。
一方の啓発活動では、おもに路上生活や半路上生活をする子どもや若者たちを対象に、基本的な自己管理や衛生観念、健康管理の方法を学んでもらいます。ビデオやポスターを用いて、薬物依存の危険性、犯罪の回避、衛生観念、HIV/AIDSへの知識、性教育の分野での啓発を行っていきます。ひとりでも多くの子どもや若者たちが、路上生活にともなう危険に気づき、暴力や事件に巻き込まれないための意識を持つこと、さらに教育や職業訓練への参加を促すことで、路上生活から抜け出すためのきっかけとなることを目的としています。
助成:特定非営利活動法人ジャパン・プラットホーム(JPF)
南スーダンの紛争
スーダンでは長い間、1)南北間の争いと、2)ダルフール地方での人道危機の2つの問題が存在していました。 南北間の争いがおこったきっかけは、1983年にイスラム教徒が多数派の北部が、キリスト教徒の多い南部にイスラム法の導入を要求したことに加え、 南部で発掘された石油の利権をめぐって、南北間での衝突が発生したことでした。 2005年に包括的和平合意(CPA)が締結されるまで、争いは21年間続き、とくに南部スーダンにおいては400万人以上の難民が発生しました。
また、2003年からは、西部のダルフールにおいて、アラブ系と非アラブ系住民との間で武力衝突が発生し、「世界最悪の人道危機」と呼ばれる状態にまで発展しました。 スーダン政府が支援しているとされるアラブ系民兵ジャンジャウィードの攻撃により、非アラブ系住民を中心に現在までにおよそ20万人の死者と100万人以上の難民・国内避難民が発生したといわれています。
西部ダルフール地方では、2006年5月にスーダン政府とダルフールの主要な民兵組織であるスーダン解放運動(Sudan Liberation Movement: SLM)がダルフール和平合意を締結したものの、 和平に参加しない武装集団があったこともあり、戦闘は継続しています。
北部政府と南部反政府組織スーダン人民解放運動(Sudan People's Liberation Movement: SPLM)間に結ばれた和平合意では、 北部の中央政府が南部政府に一定の自治権を認めるほか、南部が石油の利益の半分を北部と分割することが明記されました。 2005年3月には、和平合意の履行を支援し、必要な人道支援と人権の保護をマンデートとする国連スーダン派遣団(UNMIS)が創設されました。 そして、2011年1月の住民投票により同年7月9日に南スーダンとして独立を果たしました。現在では緊急人道支援のあとに人々が生活を立て直すための中長期的な支援が求められています。