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食料や生活必需品の配布に係る緊急支援事業
国内避難民の発生の原因と経緯
2016年7月、南スーダン共和国の首都ジュバを中心に激しい戦闘が起こり、数多くの死者、難民、そして国内避難民を生み出しました。
REALsの現地スタッフが継続的に支援をしている国内避難民キャンプも、今回の戦闘により多くの国内避難民が避難してきました。一時はグンボには10,000人、マハドには4,000人以上もの人が押し寄せました。避難してきた人々は、キャンプ付近の学校などに身を寄せていますが、十分な食料もないために体力を奪われ、狭いスペースに身を横たえて一日一日を過ごしている状況です。また、雨季が重なったことで衛生環境が悪化し、コレラの流行も確認されるなど、過酷な環境におかれています。
今回の緊急支援の内容
いまだに外部からの支援は限定的な上、日々変化する現地の状況に対応するため、REALsでは優先度により2段階にわけた支援を行います。まず、戦闘から1か月が経過した2016年8月時点でも、避難を続けているおよそ6,000人の国内避難民を対象にして、全員に可及的速やかに食料、水、調理器具を配布します。その後、この先さらに数か月にわたって帰宅が困難となることが予想される国内避難民およそ4,000人に対して、シェルター資材・石鹸・蚊帳・毛布など、当面の生活に必要な物資を配布する予定です。
REALSでは、もっとも効果的な支援を行うべく、現地スタッフとの連携を密にとることで現地の状況に即した支援を行います。
この支援は、特定非営利活動法人ジャパン・プラットフォーム(JPF)の助成と皆様からのご寄付によって行われています。
*1…国内避難民:政治的な迫害、武力紛争、内乱、武力による強制立ち退き、あるいは自然災害などの理由から自宅周辺には住めず、避難生活を余儀なくされている人々のうち、国境を越えることなく自国内で生活している人々をいう。
南スーダン 緊急支援物資配布・総括
REALsは、2016年8月から12月まで、首都ジュバ市内のマハド地区及び近郊に位置するグンボ地区にある国内避難民キャンプにて、2016年7月に起こった戦闘により避難してきた国内避難民2,125世帯に、食料・物資配布を行いました。グンボ地区では生活改善に有益な物資(NFI:Non-Food Item)を、マハド地区では食料と調理器具を、それぞれ配布しました。
グンボ地区では、戦闘終了後も国内避難民の流入が止まらず混乱状態にありました。REALsは、UNHCRをはじめとする支援関係者と支援内容の調整をし、国内避難民の人々からの要望が多かったソーラー式のランタンを始め、鍋、石鹸など生活必需品の配布を行いました。最終的に、支援を必要とする940世帯全てに支援を届けることができました。
マハド地区では、食料と調理器具の配布を行いました。グンボ地区同様、戦闘後も多くの国内避難民が避難してきていましたが、WFPやUNHCRなどの援助機関や、現地の国内避難民キャンプ管理者と入念に調整をしたことで、こちらでも、支援を必要とする1,185世帯全てに支援を届けることができました。
REALsの支援が国内避難民の人々にもたらしたもの
REALsによる食料・物資配布は、国内避難民キャンプで生きる人々の生活を大きく改善しました。キャンプに暮らす人々は、食料と調理器具の配布によって食事が毎食とれるようになりました。また、戦闘以降キャンプの衛生環境が悪化していましたが、配布された衛生用品によりそれが改善されたとの声があがっています。ソーラー式ランタンは、夜は真っ暗になるキャンプの中で、人々に明かりをもたらしました。暗闇に紛れた盗難や犯罪が発生していましたが、明りによってそれが防がれ、今では夜も安心して眠ることができるといいます。
この支援によって、全体の約80%の裨益者が生活上のニーズが満たせたと回答しました。厳しい生活を強いられてきた国内避難民の人々の生活が安定することは、REALsが目指す、長期的な平和構築に向けた第一歩です。南スーダンの人々自身が平和の担い手になれるよう、南スーダンでのREALSの活動は続きます。
この支援は、特定非営利活動法人ジャパン・プラットフォーム(JPF)の助成と皆様からのご寄付によって行われました。
ご支援ありがとうございました。
成功事例
南スーダンの首都ジュバ周辺の国内避難民キャンプで実施した、食料・物資配布事業が完了しました。今回、REALsの支援を受けた女性アグワタの体験談を紹介します。
〈6人家族を支える未亡人、アグワタ〉
アグワタは、ジュバ市中心部にあるマハド国内避難民キャンプで暮らしています。彼女は避難先のキャンプで、REALsから約3週間分の食料(メイズ粉・米・豆・油・水など)と、生活物資(小鍋・皿・コップ・ソーラーランタン)を受け取りました。この支援により、アグワタと子どもたちは食事を取ることができるようになりました。しかし、それまでのアグワタの生活は、他の国内避難民同様、過酷なものでした。
〈親戚にも頼れず、避難民キャンプへ〉
紛争が発生した後、アグワタは戦闘の激しい北部の都市からはるばる首都ジュバに避難してきました。当初、アグワタは子どもたちと一緒に姉の家に身を寄せました。しかし、姉自身の生活も厳しく、アグワタたちを養い続けることが出来ませんでした。わずか数日後には、アグワタは子どもたちを連れてマハド国内避難民キャンプに移らざるをえなくなります。
〈厳しい国内避難民キャンプでの生活〉
アグワタは数年前に夫を病気で亡くしてから、1人で家族6人を支えています。家から何も持たずに逃げてきたため、キャンプに到着した当初は、寝泊りする場所にも困りました。キャンプは混乱しており、生活物資や食糧の配給を受けることもできず、生活は困難を極めました。例えば、調理器具を持っていなかったアグワタは、近所の人に小鍋を借りて食事の準備をしていました。食事の時間は近所の人が食べ終わってからになるので、子どもたちはいつもお腹をすかせて泣いていました。調理器具を貸してもらえず、全く食事がとれない日もありました。レストランでのパートタイムの仕事を見つけ働いていたこともありましたが、一日の賃金はせいぜい1ドル(約113円)で、急激なインフレが進んでいたこともあり、家族の食事をまかなうには足りませんでした。
〈REALsの介入がもたらした変化〉
REALsから食料と調理器具を受け取った今、アグワタは近所の人に気兼ねすることなく、好きな時間に子どもたちの夕食をつくり、食べさせることが出来ます。また、ソーラーランタンは危険が多い夜の国内避難民キャンプでの生活に、安心と安全をもたらしました。今までのように、暗闇のなかで蛇やサソリに怯えることも、夜間に真っ暗になるトイレの扉を開けたままにし、暴徒に襲われる心配をする必要がなくなったのです。過酷な状況で生きているアグワタの生活に安心や快適さがもたらされました。
避難当初は日々の生活を送ることで精一杯であった、アグワタたち国内避難民が生活を安定させることは、南スーダンの平和構築への第一歩です。国内避難民ひとりひとりが自身の安全と尊厳を回復し、よりよい人生を生きていけることを目指し、REALsは南スーダンでの支援を継続してゆきます。