長年の対立を乗り越えてひとつのチームへ
南スーダンの首都ジュバ市グンボ地区では、避難民キャンプに一定の支援が行われる一方、同じく貧困や治安の悪化に苦しむ周辺コミュニティには支援が届かず、両者の間で緊張関係があり、交流も接触もない状態でした。 REALsが周辺コミュニティを訪れた際には「私たちの声を聞きに来てくれたのはあなたたちが初めてだ」、「REALsが他地域で行ってきた平和のための活動については聞いていた。そうか、あの日本の団体なんだね。だったら信頼できる」という声が聞かれ、期待の高さを感じました。 一方、避難民キャンプでは「どうせ他の援助機関のように一部の住民にいくらかお金を配り争いの種をまくだけで自分たちが何か貢献したと手柄をつくって立ち去るんだろう」、「他団体のように私たちから情報だけ集めていなくなるのでは」という避難民たちもおり、支援があるからといってそれが本当の意味で人々が必要とする成果をあげていないことも分かりました。 REALsは避難民キャンプと周辺コミュニティの双方から女性や若者を選出し、平和の担い手として育成。就業・起業支援も並行して実施し、コミュニティ全体で継続的に争い予防を事業終了後も無償で続けていけるしくみづくりに取り組みました。 この活動を通じて、避難民と周辺住民が初めて「ともに平和のために活動する場」が誕生し、ひとつのチームとして機能するようになったのです。5月には育成した平和の担い手たちの活動拠点となるコミュニティセンターも建設されました。 地域の行政官からも感謝の声が寄せられました。 「REALsが避難民キャンプとコミュニティの双方を結び付ける素晴らしい取り組みをしてくれました。これは前例のないことです。正直ここまでの成果が生まれるとは思っていなかった。本当に意味のあるものです」 REALsが育成した避難民・周辺コミュニティの人材は、当初はお互い不信感や緊張感を持っていましたが、今では双方のニーズや課題が共通すること、水不足や土地を巡る争いなどの問題の多くが紛争解決のしくみで解決できることを知り協力し合い、行政や警察にも働きかけをともに行うようになりました。 REALsの人材育成の研修を受けていたある若者は、「いったい何を学んでいるんだい?」と通りがかりの人に話しかけられたときに、こう答えていました。 「僕は、紛争を解決する術を学んでいるんだよ。そしてコミュニティの問題を解決するんだ。こういう努力を続けていけば、自分が将来長老になっても皆の役に立てるようになるだろう?そうだ、僕は長老になる。そしてこの地域の紛争や社会課題を解決し、平和を届ける大使になるんだ!」 そう語る彼の表情は、初めてコミュニティで出会ったときの不安や緊張をまとっていた時とは打って変わって希望と誇りに満ちていました。 対立から協働へと変化を遂げたこのコミュニティでは、争いを解決し平和をつくる取り組みが次々と実践されています。 |

新設されたコミュニティセンターの前で
※この活動は日本NGO連携無償資金協力と、皆様からのご寄付により実現しています。