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外部治安機関と連携し、争いを防ぐしくみを作る
REALsは2023年9月~2024年4月の期間、 南スーダンの首都、ジュバ市のマンガテン地区にて争い予防の担い手の育成、争い予防のしくみ作りの活動を行いました。
REALsスタッフと研修を受けるリーダー、ユースリーダーたち
マンガテン地区の国内避難民キャンプで暮らす住民たちは、安定した仕事を見つけられずに厳しい生活を送る人が多くいます。水や食料などの支援も行き届いておらず、苦しい生活の不満からちょっとしたことが原因で暴力に発展することもあり、その犠牲者は弱い立場にいる女性や子どもであることがほとんどです。また若者はお金がなく学校に行けず、暇とストレスを持て余しています。そんな若者を勧誘するギャングが増え、キャンプ内で犯罪トラブルも起こっています。
キャンプ内で起こる「争い」を防ぐために、REALsは争いの予兆を見つけ、未然に防ぐ争い予防の担い手の育成を行いました。
<事業1:育成>
・争いの予兆の発見、トラブルに発展しそうなときの対処法について学ぶ
・実際にキャンプ内をパトロールして争いの予兆を見つけ、暴力的な争いに発展する前に防ぐ活動を実施
【育成対象者】 37人
(指導者:女性4人、男性13人、ユース・リーダー:女性8人、男性12人)
ブラッシュアップ研修の様子
研修⇒実施、を繰り返して、争い予防の担い手たちは経験を重ねてノウハウを積み上げ、 課題の解決法の技術を磨き、争いを防ぐしくみ作りを強化していきました。
しかし、争いごとの内容によってはギャングが絡むものや、刃物を使ったトラブルなど一般人である争い予防の担い手にでは解決が難しいケースもあります。争いの予兆の内容によっては警察や政府関係者など外部の治安関係者との連携が必要になります。そこでREALsは「争い予防のしくみの強化」に取り組みました。
<事業2:しくみ作りの強化>
REALsは警察や政府関係者など治安関係者に声をかけて、パートナー作りのための会合を4回開きました。REALsが育成した国内避難民キャンプ住民、地元住民も加わり、現在マンガテン地区で起きている課題について共有し、積極的に意見を交わし合いました。
ギャング集団への対応に関する課題について説明するユースリーダー
この会合に参加したNGOや人道支援を担当している政府機関RRCは「いままでマンガテンでは治安関係者を集めた会合が開かれることはなかった。REALsが地域の課題を共有する会合を開いてくれたことに感謝する」と評価してくれました。 こうしてREALsが架け橋となり、外部治安関係者とネットワークを築くことで 、争い予防の担い手やキャンプ管理委員会では対応が難しかった課題を、外部の協力を得て解決へと導くことができるようになったのです。
他にも下記の成果を出すことができました。
・警察や医療機関など各課題に対応できる提携先が明確化
・政府機関RRCが食料危機に対応するように政府や国連に訴求、住民の声が政府や国連へ
【事業の成果】
この2つの活動を通して、REALsはマンガテン国内避難民キャンプで720件の争いの予兆のうち、紛争の予防・解決率93%以上を達成することができました。
REALsは人を変え、しくみを変え、社会を変えることで、紛争や暴力を予防し、様々なバックボーンを持つ人々が共存できる世界をつくることを目指して、活動を続けていきます。
この事業はジャパン・プラットフォーム(JPF)の助成と REALsへのご寄付により実施しました。