【活動レポート:南スーダン】争い予防の担い手を育成し、81%の暴力・争い予防解決率を達成

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【活動レポート:南スーダン】争い予防の担い手を育成し、81%の暴力・争い予防解決率を達成

REALsは2022年10月~2023年8月(約10か月)、南スーダンの首都ジュバのマンガテン地区で以下の活動を行いました。

・地域で暮らす人たちの手で争いが予防されるのしくみづくり
・争いを暴力で解決することを肯定する価値観や、行動の変化を促す啓発活動

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啓発活動後、参加者向けに配布したTシャツを着て撮った集合写真

プロジェクトの目的

事業地であるマンガテン当地区は貧困率が高く、散発的な武力闘争が続く南スーダンのなかでも 治安も不安定で暴力や争いが起こりやすい地域のひとつです。
特に国内避難民と避難民を受け入れる地域の住民であるホストコミュニティの間では、限られた物資や衛生環境の悪化を巡って対立がしばしば起こってきました。対立があっても地域の人たちが自分たちの手で平和的に解消できるように するために、REALsは国内避難民キャンプとホストコミュニティの住人が共同で争い予防に関わるしくみをつくりました。

また、個々人が抱く「家族を殺されて復讐しないなんて男らしくない」「妻は殴っていうことを聞かせるものだ」といった問題解決の手段として暴力を肯定する価値観も、争いを起こし、激化させる大きな要因です。
そのため様々な問題を暴力ではなく平和的な手段で解決していくよう価値観や行動の変化を促すために、国内避難民キャンプとホストコミュニティの住人を対象とした啓発活動も行いました。

プロジェクトの概要

国内避難民キャンプとホストコミュニティの住人40人を地域での争いの予兆を発見し、介入して解決に導ける争い予防の担い手に育成しました。

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争い予防のしくみ作り

▶国内避難民キャンプ、ホストコミュニティの住人から40人を選出。
日頃から地域で発言力のある年代と、発言力の弱い若年層に協働してもらうことで、より多様な視点での争いを発見・予防を目指す。
▶選出した40人に争い予防のための研修(暴力や紛争の予兆がどういうものか知り、起こった出来事の記録や解析方法を学ぶ)を実施。
▶継続的にコミュニティの定期巡回を通じて暴力や争いの予兆を発見し、介入。レイプや薬物犯罪など事例に応じて医療機関などステークホルダーと連携し、フォローアップを行う。
▶REALsや現地アドバイザーと定期的にミーティングを行い、暴力・争い解決についての教訓、成功事例や連携事例を共有。

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自らが争い予防の担い手として対応した事例を共有する女性

啓発活動

▶暴力(ジェンダーに根差した暴力を含む)や争いの要因となっている価値観やコミュニティの課題について、国民避難民キャンプの住人を集めて啓発を計16回開催。
▶より多くの地区住民へアプローチすべく、ラジオ放送による啓発メッセージを発信。

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現地で争いの予兆とされる事柄について話し合う参加者たち

REALsは研修を通じて40名の争い予防の担い手を育成しました。争い予防の担い手たちはマンガテン地区で巡回を行い、計812件の争いの予兆や発生を発見。81%超を予防・解決・緩和することを超えることができました。
「解決できなかった・難しかった事例」はREALsでデータ化して分析、今後のプロジェクトに役立てています。

啓発活動に関しては期間を通して16回実施しました。争い予防の担い手として研修を受けた人たちの協力により、計画以上(計722人)の参加が実現しました。 ジェンダーに根差した暴力を含む日々の発生しうる暴力や争いの予防、平和的解決について、理解度テストの結果や共有された成功事例 などから、国民避難民キャンプとホストコミュニティ住民内で争いの平和的解決、暴力予防、社会的結束に関する理解が向上し、価値観や行動が変容したことが確認されました。



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啓発活動の振り返りにて、積極的に発言しようと手を上げる参加者
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争いがもたらす影響と原因について紛争の木モデルを用いて図式化するREALsスタッフ(2023年7月13日撮影)

プロジェクトの成果

啓発活動では参加者が意見を出し、そこで得た知識を周囲の人に伝え、暴力や争い予防のためになにができるかを広めるようになりました。啓発活動の場に来られない人たちを対象としたラジオを使っての啓発メッセージは60回以上も放送され、ラジオ放送を聞いて、重要な話だと感じたので周囲の家族、友達にも内容をシェアしたという声が多く聞かれており、広く啓発メッセージを届ける結果となりました。

また、争い予防のしくみづくりと啓発活動の間の相乗効果もありました。
争い予防の担い手が啓発活動を通して薬物やアルコール依存が人に及ぼす悪影響など特定の事例について知識を得ることにより、より科学的な根拠のある説得で争いを予防するだけでなく、その後の生活習慣を改善に結びつけたこともありました。

この活動は、ジャパン・プラットフォームの助成と皆さまのご支援を受けて実施しました。

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