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ソマリア:ソマリア連邦共和国プントランドにおける干ばつ被災者・国内避難民への生活支援及び啓発・心理社会的サポート事業
現地の課題
ソマリア連邦共和国プントランドの首都ガロウェで生活する国内避難民(Internally Displaced Persons:IDP)の生活環境は過酷です。彼らの生活環境を改善するとともに、ジェンダーに基づく暴力(Gender Based Violence:GBV)の被害や住民・部族間の紛争のトラウマに苦しむIDP、及び干ばつの被害を受けた周辺ホスト・コミュニティや福祉施設に居住するIDPらが、コミュニティ内部で問題を相談して対応できるように現地のリファラル機能を整備し、住民自身が自立して持続的に問題を解決・予防出来る体制を整備・強化が必要です。
本事業の取り組み
ソマリア連邦共和国プントランドの首都ガロウェに存在する14箇所のIDPキャンプ約2850世帯(約1万人)を対象としています。避難の際に負った深刻なGBVや住民・部族間の紛争による被害やトラウマに苦しむ避難民500人に対し、自立と回復のための支援として、衛生・生活改善に有益な物資を配布します。
同時に、IDPキャンプに居住するGBV被害者の相談窓口として各IDPキャンプに配置されている人材(フォーカルポイント)や現地の関連団体、行政関係者数十名を対象に、問題解決技術、啓発技術、心理社会的サポート技術研修などを行います。さらにIDPキャンプ内で日常的な心理社会的サポートおよびGBV予防に関する啓発を実施します。これらの活動を自らモニタリング・評価できるように現地の関連団体・行政関係者には各種モニタリング評価研修を行っています。
活動
物資配布
干ばつの影響を受けたり、避難時もしくはキャンプで生活を送る中で受けた深刻なGBVや住民・部族間の紛争の被害やトラウマに苦しむ女性や子供たち、を含む500世帯を対象にしています。配布物には清潔な衣類や衛生用品などの生活支援物資が含まれています。JCCPは、物資配布の成果を定期的かつ適切に確認する体制を現地に整備するため、現地の関連団体の職員や行政関係者などを対象としてモニタリング評価研修を実施し、今後も持続的な進捗管理・事業評価が可能になるよう目指しています。
問題解決・啓発、心理社会的サポート技術研修
各IDPキャンプに配置されているフォーカルポイント、および現地団体や行政関係者ら約50名が対象になっています。フォーカルポイント自身もIDPであり、原則的には無償で活動しています。彼らは、GBV被害にあった住民やその家族などからの相談を受け、必要に応じて現地のカウンセラーや専門機関に紹介するだけでなく、GBVに関する啓発活動を企画・実施する役割も担っています。
研修項目は、①問題解決技術研修 ②啓発技術研修 ③心理社会的サポート技術研修 の3種類です。JCCPは各研修後に、受講者へのフォーカス・グループ・ディスカッションやアンケート調査を主体とする評価を実施し、受講者らが研修で習得した技術を日々の活動に活用しているかどうか、啓発活動が効果的に実施されているかどうか、GBV被害者に対して以前よりも適切な対応や助言がなされるようになったかどうかなどを確認し、必要なフォローアップを行います。
啓発活動
フォーカルポイントによる日常的な草の根レベルの啓発と、マスメディアを通じての大規模啓発の双方を対象にしています。現地社会のニーズや知恵を活用するため、啓発の企画やコンテンツ作りをフォーカルポイントや現地NGOと連携して行います。フォーカルポイントは、各々が住むIDPキャンプ内で行う日常的な相談や具体的な支援活動を通じてGBV防止に関する啓発を自然な形で行います。啓発効果を高めるために、GBV啓発メッセージの入った文房具を小学校など約800個配布しています。
現地のマスメディアを用いた大規模な啓発活動のなかでも、携帯電話によるショートメッセージサービス(SMS)の一斉送信は、ガロウェの住民のうち約1万人に届くもっとも効果的な手段のひとつです。ラジオで特集番組を企画実施し、さらに啓発効果を高めていく予定です。
持続発展性
本事業では、IDPキャンプから選出された人材や現地の関連団体および行政関係者の能力強化を集中的に行って事業実施の主要パートナーとして位置付けることで、中長期的に現地コミュニティ自らによる問題解決からモニタリング評価までが可能な体制の整備を目指しています。
助成元:ジャパン・プラットフォーム