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ケニア:暴力的過激化予防~若者がテロや暴力に頼らず生きていけるように
ケニアでは首都ナイロビや沿岸部を中心に、ソマリアを拠点に活動するイスラム系武装勢力アル・シャバーブによるテロ事件が後を絶ちません。ソマリア系の住民や難民が暮らす地域では、過激派組織や犯罪組織が経済的に貧しい若者を勧誘する事例が多く報告されています。
そこでREALsはナイロビのイースリー地区で、若者の過激化を防ぐための活動を2018年から続けています。住民の若者たちの中から、特に同世代に心のケアを提供できる心理社会的コミュニティワーカーを育成し、テロの被害にあった若者や、テロ・犯罪組織に取り込まれてしまいそうになっている若者が相談できる場を作っています。
2018年の事業開始から今年7月末までに、REALsが育成した心理社会的コミュニティワーカーがのべ950人の相談に対応してきました。悩みや問題を悪化する前に見つけて解決したり、テロの被害者・加害者どちらにも社会復帰を促す心のケアを提供するなどしています。
心理社会的コミュニティワーカーを育成する研修で、熱心に学ぶ若者たち
また住民、行政、警察などと連携して地域全体で過激化を防ぐ仕組みづくりも行っています。宗教が違う住民同士の交流や、若者の雇用機会を増やすなど、住民主体で社会を不安定化させる課題を解決していけるよう行動計画を作り、取り組んでいける体制を作っています。
【テロの被害を乗り越え、ピース・アンバサダーに】
ネリー(仮名・下写真)はイースリー地区で起こったイスラム過激組織によるテロの被害に遭いました。トラウマを抱え、あらゆるイスラム教徒と、イスラム教徒に多いソマリ系住民を憎むようになっていました。
しかしREALsが育成した心理社会的コミュニティワーカーとのカウンセリングを重ねるうち、徐々に気持ちが落ち着き、イスラム教徒やソマリ系住民=テロリストだと思い込むこともなくなり、ソマリア出身の同僚とも良好な関係を築けるようになりました。
やがてネリーは地域ボランティアにも登録し、テロの被害女性への支援活動に参加するようになりました。そして平和に貢献するピース・アンバサダーとしてして、自身の活動を通して、異なる民族や宗教の人々との共存の重要性、固定観念を持つことの危険性を訴えています。テロの恐怖を乗り越えたネリーは「次は被害者とコミュニティの人々を自分が支援することが使命」と活動を続けています。
※この活動は、皆様のご寄付を活用するとともに外務省日本NGO連携無償資金協力の助成を受けて実施しています。