東部アフリカ事業
PKO訓練センターでの平和構築実務家の育成
設立以来、REALsは国内を中心に紛争予防のための人材育成に取り組んできましたが、2007年より、さらにアフリカにおいて平和維持(PKO)、紛争予防支援に携わる実務家に対する専門研修を開始しました。REALsは、アフリカ地域のPKOセンターや国連機関、現地政府と連携し、PKOや平和構築支援に従事する軍人、警察官、文民職員、現地政府職員など、さまざまな立場と役割を持つ参加者を対象にした人材育成を実施しています。世界でもPKO訓練センターにおける研修を担う団体が数少ないなか、REALsは日本で唯一同分野における実績を有している団体となっています。
近年アフリカ連合(AU)を中心に、ダルフールや現在のソマリアのように、国連が当初から介入することが困難な武力紛争・人道危機に対し、アフリカ独自の平和維持軍を派遣するためのアフリカ待機軍(ASF)創設の準備が進められています。また軍隊のみでは実施が不可能な平和維持・平和構築活動に対し、現場で活動する警察、文民職員の育成もあわせて行われ始めています。アフリカにおける平和維持・平和構築分野における人材育成の必要性に対しては、2007年、2008年の首脳国会議(G8サミット)でも提言が行われています。
REALsは、アフリカ各地のPKO訓練センターにおける研修を行う一方、ケニアを初めとする東部アフリカのPKO訓練センターにおける訓練計画・能力強化策の立案も行っています。ダルフールやソマリアなど、国連やアフリカ連合、国際社会が安定化のための方法を模索している紛争危機に対して、REALsが実施する人材育成支援は、日本が世界の平和協力分野で先進的かつ具体的な役割を担うためのひとつの形を提示する支援でもあります。
助成:ピアソン・ピースキーピングセンター
国連開発計画(UNDP)
NGOの能力強化/ネットワーク整備
ひとたび紛争が発生した社会に対しては、紛争の直後は国連や地域機構、ドナー国やNGOをはじめとする国際社会の支援が向けられます。しかし、PKOや人道支援により危機的状況をひとたび乗り越えて状況が落ち着き始めると、その後は外部の関与は徐々に減少し、最終的にはその社会を構成する人々自身が自らの力で復興と安定化の担い手となることが求められます。
REALsは、平和維持・平和構築支援に対する外部の実務家や国際社会の支援が小さくなる段階に合わせ、その後は現地の市民社会やNGOが紛争の再発予防・平和の定着を引き続き担うことが可能となることが必要であると考え、2008年7月よりUNESCO(国連教育科学文化機関)とともに、東部アフリカにおいて「紛争予防・平和構築分野で活動するNGOの能力強化・ネットワーク整備支援事業」を行いました。この支援は、日本の支援によって行われたものです。
このNGOの能力強化事業の対象地域は東部中心のアフリカ9カ国(ケニア、ウガンダ、スーダン、ソマリア、エリトリア、コンゴ民主共和国、ブルンジ、ルワンダ、中央アフリカ)でした。9カ国で紛争予防・平和構築分野で活動するNGOの職員に対し、実務家・指導員研修を行うほか、マネジメントやそれぞれの活動分野における能力強化に必要なノウハウを研修しました。それぞれのNGOは、自分たちの国に帰ったのち、裨益者や他のNGOに対し、学んだ研修内容について伝えるワークショップを実施したり、自分たちの行う活動の効率化に役立てられました。
草の根レベルの能力を育成しても、政局や一部の権力者の思惑によって簡単に市民社会の動きが淘汰されてしまうという問題がアフリカでは多く生じてきたという問題があります。そのため、この事業では、政策レベルと草の根レベルの両方がバランスよく機能し連携するため、NGO間のネットワークに加え、政府や政策立案レベル、国際機関や外国の支援機関とも現地のNGOがつながりを確立するための支援も行っていきます。
助成:ユネスコ(UNESCO)