アフガニスタン|恐怖が希望に変わった―女性弁護士の2年半の退避を支えたもの

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アフガニスタン|恐怖が希望に変わった―女性弁護士の2年半の退避を支えたもの

REALsの支援でアフガニスタンから退避した女性からメッセージが届きました。 

 

マリアムさん (仮名)
40代女性。家庭内暴力を受ける女性たちの離婚裁判をはじめ、主に女性や子どもの権利のための 弁護士として活動していた。アフガニスタン危機により、かつて彼女が関わった事案において 加害者として収監されていた男性受刑者たちがタリバン政権により刑務所から釈放され、報復のため 彼女の命を狙うようになった。まもなく彼女本人だけでなく、夫と娘含めて脅迫と生命の危機に直面し、REALsに退避要請。2022年4月にアフガニスタンを脱出。 周辺国での2年以上にわたる待機期間を経てカナダに受け入れが実現。

  

私は夫と娘を持つ40代の女性です。アフガニスタンで、主に女性と子どもを夫の虐待から保護し救うための弁護士として働いていました。2021年8月15日に武装勢力タリバンがアフガニスタンを支配したとき、私と家族は身を隠し、タリバンとその脅迫から逃れるため、国外への脱出を試みました。タリバン政権が発足し刑務所にいた囚人たちを釈放すると、彼らは報復のため私の命を狙うようになったからです。その多くが、家庭内暴力や虐待などで女性や子どもの権利を侵害し加害者として刑に服していた男性たちでした。

 

私がかつて弁護士として保護の担当をしたある女性は、タリバン政権になったことから、離婚した元夫から幼い子供を引き渡すように脅迫され、自分を守ろうとした家族のもとにも戦闘員が派遣されるなど、命の危機に直面していました。しかし、REALsの支援により、自分自身と幼い子ども、脅迫を受けていた母や弟含めてアフガニスタンからドイツへ避難し、命と自由を守りぬくことができました。

 
しかし、その元夫は、元妻だけでなくその弁護士である私にも復讐しようとしたのです。そのほかにも私は命に関わる深刻な脅迫を多数受けました。そのため、アフガニスタンから脱出せざるをえなくなりました。幸い私は友人を通じてREALsと知り合うことができ、2022年2月に夫と娘とともにアフガニスタンを出国し、隣国パキスタンへ逃れることができました。

 

退避のなかで最もつらかったのは、私がかつてアフガニスタンで抱いていた全ての希望と夢を失ったことです。仕事が軌道に乗り、プロの弁護士としての生活を始めたばかりでした。困難な立場にいる女性たち含めて人々を救うことができる仕事にもやりがいを感じていました。さらに大変だったのは、最終目的地となる安全な地へたどりつくまでの二年半、毎日恐怖と命の脅威にさらされ続け、苦難に耐えなければなりませんでした。

 
唯一の希望は、国外退避を待つ間にも私を支え続けてくれたREALsの物理的、経済的、精神的なサポートでした。瀬谷ルミ子さんに、そして、REALsの全てのメンバーに、心から感謝しています。私と私の家族は、日本の善良な人々の支援に、お礼を伝えたいです。安全を確保してくれたこと、そして経済的・精神的なサポートがなければ、私たちが生き残ることはできなかったでしょう。REALsの支援は、退避の際の渡航費用、ビザの取得と更新、パスポート更新費用、私たちが危険から逃れるため隠れていた家の家賃、水道ガス光熱費なども含まれます。

 
それから2年以上の待機を経た2024年5月、カナダへの受け入れが決定し、トルコのイスタンブールを経由し、カナダのトロントへ入りました。
アフガニスタンを脱出する時、途中で捕らえられてしまうのではないか、どこにもたどり着けないのではないか、という恐怖がありました。しかしREALsのサポートのおかげで、恐怖は希望と願いに変わりました。現在、私たちはカナダにいます。もう何も私の命を脅かすことはない。私は家族とともに、いま、安心して暮らしています。

 
この二年以上の間、私たちが受けた物理的・経済的・精神的なサポートには、感謝しかありません。私を、そして私たちアフガニスタンの人々を支援し続けてくれている日本のみなさん、本当にありがとうございます。日本のみなさんは、いつもアフガニスタンの人々の友人であり、仲間であり続けてくれていると感じます。日本の長年にわたるアフガニスタンの復興のための活動、開発支援、寛大な支援は、アフガニスタンの人々の歴史に刻まれています。(アフガニスタンの復興に貢献し2019年に亡くなった)日本の医師である中村哲さんの名をあげさせてください。彼は人道と名誉の象徴でした。私たちアフガニスタン人は、決して彼を忘れることはありません。そしていま、瀬谷ルミ子さんは、私の、そして私たちの心の中に、中村哲さんと同じように、大切に刻まれています。アフガニスタンで虐げられ、抑圧され、多くを奪われる人々のために心を砕いてくれるあなたたち一人ひとりもまた、中村哲さんと瀬谷ルミ子さんと同じ存在である、そう感じています。
本当にありがとうございました。

 

※この活動は、アフガニスタン退避・保護支援を目的としたクラウドファンディングおよび、同目的で皆様からいただいたご寄付により実施されています。

  

アフガニスタンの退避・保護、食料支援のため、REALsでは寄付を募っています。
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